小学校で関数電卓? 現実問題の解決に必要な算数・数学の概念理解

新しい算数・数学教育を考える
今、社会で必要なスキルとして、「数学的な発想力」「現実の問題解決に数学を応用する能力」が求められるようになりました。そのための新しい算数科、数学科の教育方法が検討されており、その中で諸外国との比較研究も行われています。
例えば、国際学力調査で上位の中国やシンガポールの小学校では、「関数電卓」の使い方が算数・数学の教科書に掲載されています。実社会で扱うような、桁数が多く、かつ、整数ではない数字の問題を電卓で計算し、操作する側は解の予測や検証を試みる内容となっています。
実社会で必要となる算数・数学とは
電卓を使う複雑な計算問題が豊富な海外の教育方法は、筆算など「計算技術」を重視する日本と異なり、参考となる点は少なくありません。
一方、日本の小学校では、1人1台の端末を用いた学習が盛んに行われています。もちろん、端末内には電卓も内蔵されていますが、どれくらい活用されているのでしょうか。子どもたちはソフトウエアを使いこなして、自分で現実のデータを集めることもできます。実際的な教育方法として、実データの収集・処理・分析を前提とした授業が可能となる環境が整いつつある環境と言えます。
「概念」の理解が課題
現実問題に数学を応用する上で、「概念」「意味」を理解していることも重要です。例えば速度の計算で、「きはじ」という公式を覚える方法に聞き覚えはありませんか。このとき、「一定時間に進んだ距離」という速度の概念を理解せず、数字を当てはめる計算方法だけを覚えてしまうと、現実問題の解決につながらないこともしばしばです。
また別の例で、文字・文字式を解くときに混乱したことはありませんか。「=」が表す「右辺と左辺が同じ」という意味理解が不十分なこともあります。日本の小学校では「3+2=□」というような計算で「3足す2は……」と読む影響もあり、「=」を演算の結果を表す記号と誤解することがあるのです。
概念を理解することは大変難しく、これからの算数・数学教育の課題となっています。
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創価大学教育学部 児童教育学科 講師津田 真秀 先生
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