講義No.08536 数学

数学でさまざまなコトを解析して社会に役立てる~凸解析と最適化~

数学でさまざまなコトを解析して社会に役立てる~凸解析と最適化~

凹んでいない形の分析「凸解析」とは

モノには、凹みがあるものとないものがあります。例えば生卵に凹みはありませんが、リンゴやみかん、ドーナツには凹みがあります。凹みがない形のモノを数学用語では「凸集合」と言い、これを分析することを「凸解析」と言います。高校数学でも、「上に凸」「下に凸」という言葉を通じて、凸解析に触れています。
凸解析においては、「双対性(そうついせい)」と呼ばれる性質が多く発見されています。例えば下に凸な関数には、ペアとなる下に凸な関数があって、これらは表裏一体の関係になっています。

数学で社会的課題を解決する

個人や組織が一番良い状態を見つけるために、「最適化」を行います。例えば運送会社による配送計画や、飛行機の運航スケジュールなどは、どのようにするかで総価格が変わります。このような状況を数学的に記述したものが最適化問題であり、これを解くことでさまざまな課題を解決できます。ある航空会社では、年間1千万ドルの経費を削減しました。このような最適化問題にも双対性があります。下に凸な関数を用いて記述された最適化問題には、ペアとなる最適化問題が存在しています。表と裏が並列して存在するのです。
また、最適化は1個人や1企業の行動ですが、2人以上が同時に行動したときには複雑になる場合があります。この状況の研究は「ゲーム理論」と呼ばれます。例えば、少子高齢化は、市民と行政のゲーム理論で説明することができます。このように解決が難しいような課題でも、数学を使って状況を分析し、的確な対応を行えば、十分な効果が得られると考えられています。

新しい枠組み「集合値最適化」への挑戦

人のステータスは数値で表されます。すなわち、すべての人はグラフ上の点として表現できます。点が集まると、クラスや組織などの集団となります。そこで、集団同士の比較を定式化し、最も良い集合を見つけるための新しい枠組みが「集合値最適化」です。この枠組みを活用し、より良い集団を作るためのヒントを得る研究も進んでいます。

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先生情報 / 大学情報

島根大学 総合理工学部 数理科学科 教授 黒岩 大史 先生

島根大学 総合理工学部 数理科学科 教授 黒岩 大史 先生

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数学

メッセージ

高校で学ぶ数学は、どちらかといえばパズルのようなもので、大学で学ぶ数学のほんの一面です。数学を学ぶと論理的思考力が身につくといわれますが、高校の時点では解法の学習が中心であり、大学生になって学年が進んで段々と論理的な能力が身についてくるものです。大学で数学を学ぶと、哲学的な側面や芸術的な側面が見えてきます。数学を学んで身につく力は意外と多いです。
しかし大学で数学を学ぶには、「数学が好きだから」という理由があれば十分だと思います。あなた自身の人生ですから、好きな道を自分で選んでください。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

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島根大学は、学術の中心として深く真理を探究し、専門の学芸を教授研究するとともに、教育・研究・医療及び社会貢献を通じて、自然と共生する豊かな社会の発展に努めています。とりわけ、世界的視野を持って、平和な国際社会の発展と社会進歩のために奉仕する人材を養成することを使命とします。この使命を実現するため、知と文化の拠点として培った伝統と精神を重んじ、「地域に根ざし、地域社会から世界に発信する個性輝く大学」を目指すとともに、学生・教職員の協同のもと、学生が育ち、学生とともに育つ大学づくりを推進しています。