足して割るだけが平均ではない!? ~統計学の基本の「き」~
「データこそがすべて」が統計学のはじまり
「確率・統計」と言われるように、統計学は確率と深い関係があります。今日の統計学にはいろいろな解析方法や理論がありますが、もともとは確率論と特別な関係を持っていませんでした。人間はかなり昔から統計というものをとっていたことは確からしいのですが、当時は数え上げ、記録し、集めたデータ(数値)をどうやってうまく処理するかが主たるテーマでした。確率論の発達以前は、目の前に与えられたデータこそがすべてだと考えていたのです。
グループを代表する代表値
得られたデータを1つの数値を使って表そうとするときの値が代表値です。代表値には平均値(アベレージ)、中央値(メディアン)、最頻値(モード)があり、中でもよく使われるのは平均値でしょう。
例えば、3カ月間のアルバイト収入が、それぞれ7万円、3万円、2万円だったとすると、この3カ月の平均は(7万円+3万円+2万円)÷3=4万円となります。これは簡単な算術平均をとる問題です。しかし算術平均は平均の中の一種に過ぎません。ほかにも平均概念はあるのです。
経済成長率はどうやって計算するのか?
例えばこの問題です。「ある会社の株価が、一昨年が10万円、昨年は20万円、今年は160万円であった。一昨年から昨年までの伸び率は2倍、昨年から今年は8倍。では、この2年間の伸び率は平均して何倍か?」
よくやってしまうのは(2倍+8倍)÷2=5倍とするものです。5倍が平均なら、10万円×5倍×5倍=250万円になってしまい、これは明らかに間違いです。それではどう考えるのかと言うと、幾何的に平均するのです。2倍×8倍になったものを平均していくときにはその平方根を求めます。√(2×8)=√16=4倍、検算してみると10万円×4倍×4倍=160万円となり、4倍が正解です。
こういう平均のことを幾何平均(相乗平均)と言います。幾何平均は非常に有用でGDP(国内総生産)を計算する際にも用います。経済学を学ぶには統計学の習得は避けて通れません。
参考資料
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