講義No.12323 教育 数学

数学が社会で活用される授業をデザインする

数学が社会で活用される授業をデザインする

実社会のあらゆるシーンで活用される数学

数学を何のために学ぶのかと考えたことがある人は少なくないでしょう。その一つの答えは、数学が社会で役立ち、社会の様々なシーンで活用されていることにあります。自然科学や工学、医学や薬学、社会科学や人文科学など諸学問、企業活動、市民生活でも数学が活用されています。データを組み合わせ数値化してランキングとして示されたり、ビックデータの分析により陳列商品を決めたり商品開発がなされたりしています。どの商品を購入するかの判断にも、活かすことができます。

数学の有用性を実感できる授業

学校の数学の授業で、数学が実社会で活用されている場面を題材にすると、子どもたちは数学が社会に役立つことを実感することができます。例えば、病院で処方される薬の用法用量を決めるために、方程式や不等式、数列や指数関数、微分積分といった数学が使われています。どのタイミングでどれだけの量の薬を飲めば副作用なく効果的に働くかを、表、グラフ、式などを用いて考え説明するような授業をデザインするのです。
数学が社会で活用できることを子どもたちが経験することを通じて、数学を学ぶ意義を見いだし、興味を高めることができます。また、自ら考え解決する力も養えます。将来どんな職業に就くとしても、数学を使えるユーザーが増えれば、未来の社会づくりにつながります。

数学の授業が子どもたちの未来と社会を変える

こうした数学を活用する活動や、数学を創り上げる活動を学校教育に実現することの重要性を説いたハンス・フロイデンタールの教育論を手がかりとして、数学教育の研究者や実践者が手を携えて、世界各国で教科書や授業づくりのプロジェクトが実施されてきました。現代日本においても、主体的・対話的で深い学びやSociety5.0時代の教育の実現、GIGAスクール構想によるICT環境の運用など、算数科、数学科の授業改善が喫緊の課題となっています。数学の教育が変わることで子どもたちの人生が豊かになり、社会貢献の可能性も広がるのです。

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先生情報 / 大学情報

金沢大学 人間社会学域 学校教育学類 准教授 伊藤 伸也 先生

金沢大学 人間社会学域 学校教育学類 准教授 伊藤 伸也 先生

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教育学、科学教育、数学教育学

先生が目指すSDGs

メッセージ

今、学校で学んでいる数学は、自然や社会の現象の解明や課題の解決に広く活用されるとともに、それ自体発展され続けています。数学が活用されるのは、自然科学や工学のみならず、災害や感染症、社会経済活動の分析と制御、サービスや生産性の向上など多様です。また、数学の発展は、他の解法を考えたり、仮定や結論を変えた命題について考えたりすることでもたらされることがあります。数学を教育の視点から見直し、子どもたちが数学を深く学び数学的に考え豊かな社会を築く力を育む教育とその研究に、あなたも取り組んでみませんか。

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金沢大学は150年以上の歴史と伝統を誇る総合大学であり、日本海側にある基幹大学として我が国の高等教育と学術研究の発展に貢献してきました。本学が位置する金沢市は、日常生活にも伝統文化が息づき、兼六園などの自然環境に恵まれ、学生が思索し学ぶに相応しい学都です。江戸時代から天下の書府とも呼ばれ、伝統の中に革新を織り交ぜて発展してきた創造都市とも言えます。「創造なき伝統は空虚」との警句を胸に刻み、地域はもとより幅広く国内外から来た意欲あるみなさんが新生・金沢大学への扉を共に開くことを期待しています。