ものまねタレントや声優の「声の秘密」を解明する
ものまねタレントや声優の声の謎
ものまねタレントはなぜ他人に似た声を出せるのでしょうか? 声優はどうして性別や年齢が異なるキャラクターの声色を使い分けられるのでしょうか? 人間は肺からの呼気で声帯を振動させ発声しますが、その振動が速いほど声は高く、遅いほど声は低くなります。声変わりのときは体の成長とともに声帯のサイズがグッと大きくなり位置も下がるため、振動は遅くなり、急に声が低くなるのです。声には高低のほかに「声色」という要素もあり、声のプロたちはこれらをトレーニングで操る技術を身につけているのです。
さまざまな技術で声のメカニズムを解明
声をコントロールするには、いろいろなテクニックがありますが、高い声を出すには声帯をギュッと引っ張り、緊張させて振動を速くします。裏声は地声と異なるパターンで声帯を振動させます。ものまねタレントや声優はこれらのテクニックを高度に、複雑に組み合わせて声を出しているのです。
声を出す仕組みを調べるために、喉にファイバースコープを入れて声帯の振動を調べたり、MRI(磁気共鳴画像装置)を使い、声を出している人間の声道(声帯から口唇までの声の通り道)を撮影したりして、さまざまな声を出すメカニズムの謎を解く「音声科学」の研究が進んでいます。
「声のコピー」や合成音声の作成も可能に!
2次元の画像しか撮影できないレントゲンと異なり、3次元の画像撮影を可能にしたMRIは発声メカニズムの研究に革命をもたらしました。人それぞれ顔が違うように声帯、喉の空間、口の中の形はそれぞれ違い、それが声の個性を生み出しています。個人の声道の形がMRIでわかれば、立体モデルを作ってそっくりの声を再現できます。
声優の声道をMRIで撮影すると、喉の高さを自由に動かして声の高さを変化させていることがわかりました。音色やニュアンスを作る仕組みまで解明できれば、キャラクター性のある声や、いろいろな感情のこもった声を出せる合成音声の開発も夢ではありません。
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甲南大学 知能情報学部 知能情報学科 教授 北村 達也 先生
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