「哲学カフェ」で、グローバルの意味を考えよう
討論会では、問題を根源的に考えないことが多い
学校でも企業でも、また地域社会でも、問題があるとみんなで話し合って解決策を探します。このような討論の目的は、限られた時間の中で問題解決につながる有効な答えを見つけることです。しかし、討論会は実を言うと、問題を根源から考えるものではありません。
例えば、日本人が貧困や戦争などのグローバル社会の問題をテーマに討論する場合、誰もがまず日本の利害について考えようとします。しかし、なぜ国単位で問題をとらえようとするのでしょう。日本人だから日本の利害を優先するのは当然? でも、私たちはたまたまこの国に生まれただけです。果たしてそこまで自分の国を優先すべき理由があるのでしょうか? そもそも国家とは? 普通はそんなふうに根源的に考えることはないのです。
「哲学カフェ」って何?
実は、そんな根源的な対話をする場があります。それが「哲学カフェ」です。哲学者だけでなく誰でも参加できるものです。コーヒーなどを飲みながら、気軽に哲学的なテーマを討論します。司会進行は、哲学的素養のある「ファシリテーター」と呼ばれる進行役の人が行います。教室で教師がファシリテーターになる場合でも、あくまで中立的な立場で、参加者の考えを集約したり、盛り上げたりすることに徹します。
大切なのは自分でものを考えること
哲学カフェの目的は答えを出すことではありません。大切なのは、参加者が自分でものを考えることです。他人の意見を聞き、自分の考えを表明する中で思考が深まっていく、そのプロセスが重要なのです。そうすることで、参加者全体の「集合知」が底上げされ、共通認識ができます。そこまでいくと、誰もが表面的な解決では満足できなくなります。
私たちは、往々にして自分に都合のいい目先の満足を求めがちです。しかし、それでは根本的な解決になりません。哲学カフェは、普段哲学とは無縁に思える人たちが、哲学的思考を身につけるための有効な手段なのです。
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先生情報 / 大学情報
山口大学 国際総合科学部 国際総合科学科 教授 小川 仁志 先生
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