美しさはやはり色で決まる

美しさはやはり色で決まる

化粧品の色でイメージチェンジ

神代の昔から女性を美しく彩る化粧品。アイメイクに欠かせないアイシャドウと女性の唇を魅力的に表現する口紅、一体どちらが印象形成に有効なのでしょうか。日本人の平均的な顔のイラストを使ってそれぞれの色を付けてやると、アイシャドウに顔全体の印象が引っ張られることがわかります。これはアイシャドウの方が色味に富んでいることが影響しているのかもしれません。
ところが、実際に人の顔にメイクを施すと、今度は口紅の色の印象が際立ってきます。この変化の理由がどこにあるかは確認できていませんが、口紅の方がアイシャドウより塗る面積が広いこと、2次元のイラストと3次元の顔ではそもそもイメージが異なることが影響しているのかもしれません。ともかく、最終的な印象の確認は、実際に化粧品を塗って見た方がよさそうです。

チープさもボトルで高級に変身

メイクアップ品だけでなく、香水にも色は大きく影響を及ぼします。香水はTPOに応じてさまざまな自分を演出してくれますが、そのイメージを作るのは匂いばかりではありません。コスメショップに並ぶ色とりどりの香水ボトル、実はあのボトルの色が香水のイメージを左右することが実験によって明らかにされたのです。
実験参加者に香水を嗅いでもらって印象を答えてもらうのですが、その際に香水のボトルの写真も一緒に見せます。ただし、写真はその香水とは別の香水の写真です。すると、香りだけでは大人っぽいと感じても、ピンクのボトルの写真を付けることで、かわいらしいという印象を持つようになる。また、高級感のある琥珀色のボトルを見せることで安い香水でも高級なイメージが持たれるといった結果が出たのです。もちろん、特異な形状のボトルは別ですが、シンプルなボトルではどれも色の影響が大きいようです。
日常生活でも、わたしたちは身の回りのものの色からさまざま印象を受けますよね。肝心の香りを伝えられないはずの香水の広告でも、ボトルでそのイメージを訴求すれば、広告効果は十分に期待できるということなのです。

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千葉大学 工学部 総合工学科 デザインコース 准教授 桐谷 佳惠 先生

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デザインを志す方は、人そのものにも関心をもってください。なぜなら、デザインされるものは、それを利用する人を想定しているからです。デザイナーは、作り手であると同時に、生活者である以上、使う側にもなります。その立場を忘れずに、もの作りに励める人は強いでしょうね。自分を含めて、人はどのように行動するのか、それを調べるにはどのような手法をとればいいのか、そんなことにも関心をもってもらえれば、と思います。

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千葉大学は、他大学にないユニークな学部を含む全11学部を擁する総合大学です。学際的文理融合の精神のもとに、教育研究の高度化、産官学の連携推進、国際交流の拡充を進めています。近隣には放送大学、国立歴史民族博物館などがあり、各分野で共同研究が行われています。「つねに、より高きものをめざして」の理念のもと、世界を先導する創造的な教育・研究活動を通しての社会貢献を使命とし、生命のいっそうの輝きをめざす未来志向型大学として、たゆみない挑戦を続けます。