世界に安全と自由をもたらす暗号化技術とは

暗号化技術の役目
まだインターネットがなかった頃、内緒の話をしたければ、ほかの人がいないところで話せばそれですみました。しかし現代社会はビジネスもプライベートも、インターネットを介したコミュニケーションが盛んです。仕事だと、メールなどさまざまなツールでのやり取りが当たり前ですし、学生も学校が終わればSNSでおしゃべりをするでしょう。しかし、こうしたインターネットを介したやり取りの内容は秘密にできません。常に第三者に盗聴される、あるいは個人を特定される危険をはらんでいます。中には個人を特定されて、匿名の相手から攻撃されるといったこともあります。そんな危険を未然に防ぐために大切なのが、暗号化技術です。
エンド・ツー・エンド暗号化技術
暗号化技術は、すでに私たちが日ごろ使っているメッセージアプリでも採用されています。最近では、よりプライバシーが保護される「テレグラム」や「シグナル」といったメッセージアプリが注目されており、これらが採用しているのが「エンド・ツー・エンド暗号化技術」です。これは発信者の端末で暗号化し、受信者の端末でのみ復号するもので、その途中での盗聴は、たとえハッカーや通信会社、政府組織であっても不可能です。
人々が自由を獲得できる世の中に
暗号技術を高める理由は、人々の言論の自由を守るという目的もあります。簡単に第三者に知られるようでは、人々は安心してものを言えなくなるからです。
ところが最近、エンド・ツー・エンド暗号化技術を規制しようといった動きがあります。テレグラムが犯罪に使われるなどしたためで、警察や政府機関だけは暗号を解読できるようにと、そのためのルール策定の必要性を唱える提案もあります。しかしどんな規制のルールを作っても、技術的に突破が可能なら規制し切れるものではありません。プライバシーや、表現や言論の自由を守るための暗号化技術の開発と、それに対するルール作りとの、両方のバランスを上手に取っていくことが大切なのです。
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駿河台大学経済経営学部 経済経営学科 教授八田 真行 先生
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