コンピュータの高性能計算が必要な理由

コンピュータの高性能計算が必要な理由

ハイパーパフォーマンス・コンピューティング

コンピュータによる高性能計算のことを、「ハイパーパフォーマンス・コンピューティング」と呼んでいます。複雑な計算を高速で行うことを指すのですが、どのくらい速いのでしょうか。
コンピュータの性能を示す単位に「Gflops(ギガフロップス)」があります。「G」はギガで10⁹のこと。「flops」はフロップス(=Floating point number Operations Per Second)で、小数点のある数の計算(“浮動小数点数演算”と言います)を1秒間に何回できるかを表す単位です。

どんどん速くなる計算速度

私たちが普段使っているパソコンは、この計算性能が100Gflops程度あります。わかりやすく言えば、15桁くらいの小数点のある2つの数のかけ算を、1秒間に100ギガ(つまり1000億回)できるというわけです。
速すぎる!と多くの人は思うことでしょう。しかし、これ以上の速さ……100 Gflops の数十倍、数百倍の高速で計算がしたい!というのが、現在の「ハイパーパフォーマンス・コンピューティング」なのです。日本では2006年に理化学研究所が世界最高性能の専用計算機の開発を行っています。

高速計算が可能にするシミュレーション

計算を高速にできると、どんなことが可能になるのでしょうか? その答えが、コンピュータ・シミュレーションです。
例えば、車がガラスに衝突するとどういう事態になるかを調べるには、実際にぶつけてみればいいのですが、何回も行うわけにはいきません。そんなとき、コンピュータに車の重量、速度、ガラスの硬度をはじめとした情報を入れ、物が壊れるときの構造計算を行わせれば、シミュレーション、すなわち仮想現実をつくり出すことができます。
現在、コンピュータ・シミュレーションは、天気予報などでも活用されているとともに、人間の体の中の分子の動きを可視化する研究も進められています。

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電気通信大学 情報理工学域 I類(情報系) コンピュータサイエンスプログラム 教授 成見 哲 先生

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情報工学

メッセージ

「人の役に立つ仕事につきたい」と考えているあなた、そのために大学や学部を選ぶことも多いでしょう。しかし、そんなとき「自分の得意なこと、好きな分野、やりたいことを前に進める」という視点も大切だと思うのです。大学での学問と社会との接点が見えにくいこともあります。社会に出ても、すぐに人の役に立つ仕事につけないこともあるでしょう。でも、その道を究めていけば、きっと、自分の力で社会に役立つことができる時期がくるものです。そういう大きな視点で大学もとらえてほしいと思います。

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電気通信大学は、東京にある理工系国立大学で、「工学」と「理学」のうち、特に情報分野および理工分野を核とした教育研究を行っています。先端科学技術を支える全分野、例えば、情報、通信、電子、知能機械、ロボティクス、光科学、物理、量子、化学、物質、生命などの分野を網羅しています。社会で活躍する人材の育成をめざし、ものづくりに意欲を燃やす学生の期待に応える教育環境を提供します。