講義No.08065 生物学 医学

食べ過ぎると、短命になるってホント?

食べ過ぎると、短命になるってホント?

自然に血が止まるのはなぜ?

転んで膝(ひざ)をすりむいても、しばらくすると血が固まって止血します。出血が止まらないと命に関わる事態に陥ってしまいますから、「血が固まる」機能は、生命を維持するための重要なシステムです。中学校の理科では、「血小板が血液を固める」と学んだと思いますが、実際には血液中のたんぱく質分解酵素がつぎつぎに活性型に変わり、最後に「フィブリノーゲン」というたんぱく質が「フィブリン」に変化させて、血小板を糊(のり)のように固める反応が起こっています。この止血システムは通常、血管の外側でしか起きないので、血管内を流れている血液が固まることはありません。

生活習慣病が、生体システムを狂わせる?

「血栓症」という疾患は、血管内で発生した血の固まり(血栓)が血管の細い部分に詰まり、血の流れを止めてしまう疾患です。「脳梗塞」「心筋梗塞」「エコノミークラス症候群(肺塞栓症)」なども血栓症の一種です。本来、血管の外側だけで機能するはずの止血システムが、血管内で働いてしまうのです。その「誤作動」の主因とみられているのが、肥満や高血圧、糖尿病などの「生活習慣病」です。

「線虫」も、生活習慣病になると短命になる

生活習慣病をもたらす原因は、カロリー過多な食生活と運動不足です。「線虫」を用いた実験によると、高カロリーな餌を与え続けた線虫のグループは、そうでないグループと比較して「インスリン」というホルモンの影響をより多く受け、明らかに寿命が短いことがわかりました。
人間の場合、インスリンは血糖値を抑えるホルモンであり、過食によって血糖値が高くなるほどインスリン分泌量も増えます。つまり、生活習慣病を放置すると、止血システム誤作動の危険性が高まるのに加え、インスリンの影響をより多く受けることで、ますます短命になる可能性が高くなるのです。このように、疾患の原因を分子的に解明することによって、疾患の予防法の研究が進むことが期待されています。

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崇城大学 生物生命学部 生物生命学科 教授 武谷 浩之 先生

崇城大学 生物生命学部 生物生命学科 教授 武谷 浩之 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

分子細胞生物学、分子病態学、医学

先生が目指すSDGs

メッセージ

あなたは、何か夢中になっていることはありますか。生き物が好き、生物が生きていく仕組みに興味があるというあなたは、大学で「生命科学」の研究を選択してはどうでしょうか。
高校時代は受験勉強で忙しく、「生命科学」と聞いてもピンとこないかもしれませんが、崇城大学の生物生命学部には、理学、医学、薬学、工学など、あらゆる理系分野の教授陣が揃っていますから、きっと夢中になれるはずです。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

崇城大学に関心を持ったあなたは

崇城(そうじょう)大学は薬学、生物生命、工学、情報、芸術の5学部からなる総合大学です。“世界で活躍できるプロフェッショナルの育成”を目指し、最先端の施設・設備・研究を備え、学生一人ひとりを厳しく育てる実践的な教育プログラムにより、高い就職率や国家資格合格率を維持しています。理系私立大学では全国初の英語を公用語とする学習施設「SILC(シルク)」があり、英語ネイティブ講師による英語教育が成果を上げています。本学の地である熊本から産業界の未来を切り拓く若者を輩出する学舎でありたいと決意しています。