スマートフォンによる不調を改善するには
スマホによる頭痛や肩こり
スマホに夢中になっていると、いつの間にか頭や肩が痛くなることがあるでしょう。人間の首から上の部分である頭部は、ボウリングの球ほどの重さがあります。通常はまっすぐ立つことで重さを支えていますが、スマホの画面を見るために常に斜め下を向いた状態を続けると、首の後ろ側にある筋肉が長時間緊張し、頭痛や肩こりなどの不調につながるのです。
筋肉同士がはりつく
首から背中にかけての僧帽(そうぼう)筋は、筋肉が何層にも重なった構造をしています。同じ姿勢を続けると筋肉同士がはりついてしまい、筋肉の間にある神経や血管が圧迫されます。圧迫により、「栄養血管」と呼ばれる酸素や栄養素を送り届ける血管の途中経路が狭くなって血行不良になり、頭痛を引き起こすのです。加えて、筋肉自体が血行不良になるために筋肉が重だるく感じるのが肩こりです。これらの症状を起こさないためには頭の位置を正すことが一番ですが、既に症状が出ている場合には、層になった筋肉を別々に動かすことで改善できます。
理学療法を科学的に実証
現在は、これらの改善方法の科学的根拠による裏付けの研究が始まっています。超音波診断装置により、筋肉の動きや厚みの変化のほか、筋肉の間にある動脈の脈動も見られるようになりました。これまでは解剖しなければ見られなかった神経も、超音波診断装置により周辺の筋肉を観察することで、リアルタイムで様子がわかります。科学的根拠に基づいた理学療法を行うことで、治療がより具体化され、改善の確率が上がると考えられています。
このような細かな治療を行うには、科学的解明に加えて、患者さんの気持ちを適切に汲み取るコミュニケーション技術も必要です。例えば、患者さんが痛みという抽象的なものをうまく表現することが困難な場合、理学療法士が痛みを表す言葉をいくつか提示して選んでもらうことで原因を探り出していきます。このような医療面接で必要とされるコミュニケーション技術は、ロボットやAIには真似ができない技術なのです。
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先生情報 / 大学情報
文京学院大学 保健医療技術学部 理学療法学科 准教授 上田 泰久 先生
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