航空力学の進歩で、飛行機のカタチが劇的に変化するかも!?
変わらない飛行機の基本形状
20世紀初頭のライト兄弟による飛行から現代までの間に、飛行機にはさまざまな空力的な改良が加えられてきました。より大きな揚力(機体を持ち上げる力)を得るため、空気抵抗を減らすためなど、きりがないほどです。
ただし、細長い機体に主翼と尾翼が付いているという基本的な形状は、100年前からあまり変わっていません。プロペラ機であれジェット機であれ、従来の技術を使う限りにおいては、ほぼ最適な形状となっているからです。
ヘリコプタがドローンに進化
自動車の動力が、エンジンから電気モータに切り替わりつつあるように、航空機の世界でも、動力をモータに切り替える研究が進められています。
例えば、測量や農薬散布などさまざまな用途で活用されているドローンの「先祖」は、エンジンによって大型の回転翼を動かすヘリコプタですが、高性能なモータで空を飛ばせるようになり、ドローン独自の形状が生まれました。同様に飛行機も、動力がモータに変われば、燃料用のタンクや配管、大型のエンジンなどが不要になる分、機体の形状や機内のレイアウトを一新できるでしょう。
「アウターロータ型」で新しい推進機関を
飛行機を電力で飛ばすためには、推進機関も進化させなければなりません。そこで現在、「アウターロータ型」のモータに直接プロペラを取り付ける方法が研究されています。
産業用モータの多くは、内側の回転軸に磁石、外側にコイルを配置し、回転軸から伸びたシャフトが動力を伝達します。一方アウターロータ型はコイルと磁石の配置が逆で、外側(磁石側)が回転します。そこにプロペラを付ければ、シャフトが不要なため小型化が可能です。さらに同軸上に複数のコイルと磁石を配置すれば、複数のプロペラが一方向に向けて強力な風を送り出す、新しい推進機関となる可能性があります。小型の電動飛行機なら、比較的近い未来に身近なものになっているかもしれません。
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先生情報 / 大学情報
崇城大学 工学部 宇宙航空システム工学科 教授 谷 泰寛 先生
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