食べ物によって人生を変える時代へ

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マウスから見えてくるストレスの影響

ストレスから起こるとされる現代人の「うつ病」の治療法や予防法を開発するために、マウスを使った研究が行われています。ヒトの「脳」や「こころ」を研究するモデル動物として、マウスが優れているからです。研究の目的に特化した「マウスモデル」をつくりだし、ストレスを与えた際の社会的な行動や、栄養代謝、腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう=腸内フローラ)などを調べるというものがあります。マウスどうしの闘争によって起きる「社会的敗北」では、負けた側が勝った側に近寄らないという行動が示されます。これがうつ病に似ているのです。

ストレスと食事はつながっている

しかし、負けた側が勝った側に近づくケースも一定の割合で出てきます。ストレスに強いレジリエントなマウスです。このストレスに対する感受性の違いを生み出す原因のひとつとして浮かび上がってきたのが、「食」です。一般的な非精製飼料を与えた個体と、デンプンなどのピュアな成分だけからなる精製飼料を与えた個体を比較すると、精製飼料を食べさせた方が、ストレス感受性が上がりました。つまりストレスに弱くなったのです。この結果は、ストレスと心身の健康、食がいかにつながっているかを科学的に探索できることを示唆します。病気になる前の段階から体内で兆候を現す「バイオマーカー」探索との両輪で、今後、特定の症状改善に効果のある食物や加工食品、調理方法といった形でも実証されていくでしょう。

社会的にも活用できる「食」という資源

これまでも特定の栄養成分とうつ病との関係を探る研究は行われてきました。しかし、社会的ストレスのマウスモデルの栄養研究を通して、食が精神に及ぼす影響を調べるという分野は新しいものです。これらは医学と栄養学が協働していく方面でも注目されています。また、大学などの教育研究機関が、その立地する地域の経済に貢献する方法として、地域の農産物を「健康維持のために」活用していく役割も期待されていますが、マウスはそのような研究でも活躍します。

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先生情報 / 大学情報

茨城大学 農学部 食生命科学科 教授 豊田 淳 先生

茨城大学 農学部 食生命科学科 教授 豊田 淳 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

動物栄養科学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私は子どもの頃から動物の行動に関心が深く、研究者になろうと思っていました。私の時代は大学の細かい情報が少なかったのですが、書店にあった大学教授の本を読んで憧れ、その先生がいる大学に進学しました。あなたにも、ぜひ、やりたいと思うことをやれる大学を選び、好きな道を突き進んでほしいです。本当にやりたいことが見えかけているのなら、周りに惑わされず、飛び込みなさいと大学生にも話しています。あなたの直観に従い、勇気を持って、まずは飛び込んでみましょう。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
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茨城大学に関心を持ったあなたは

茨城大学は、人文社会、教育、理、工、農の5学部からなる中堅的地方総合大学です。校地は水戸・日立・阿見の3地区に分かれており、各キャンパスとも学生を中心とした環境づくりを進め、教育研究施設の充実を図っています。幅広い教養教育と高度の専門教育により専門家として自立できる人材を育成するため、学部・大学院にて多様な学習の場を用意し、各分野で世界を先導する研究活動を推進しています。