未来の自動車を動かす「次世代パワートレイン」って、何?
自動車分野で注目の「次世代パワートレイン」
自動車の分野では、いかにエネルギーを効率よく使い燃費を向上させ、二酸化炭素の排出を低減できるかという「環境負荷低減」が世界的なテーマです。この1つのキーが「次世代パワートレイン」です。耳慣れない言葉かもしれませんが馬力のある列車のことではなく、パワートレインとは自動車の中でエネルギーを作り出して駆動輪に伝えるまでのシステムのことで、ガソリン車でいえばエンジンからタイヤに至るメカニズムの総称です。
用途によって最適なものが異なる
ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、EV(電気自動車)、燃料電池、水素エンジン、ハイブリッドなど、さまざまな動力源をパワートレインとして組み立て、優れた次世代型自動車システムを模索していく必要があります。将来的にどれがベストかは単純には決められません。それぞれコストや効率、燃料供給の状況も千差万別なら、短距離の街乗りにはEVが優れ、ロングランの走りにはディーゼルエンジンが向くように、走りや使われ方が違うからです。ですから、どんな用途の自動車にどのパワートレインを使えば、社会全体としてエネルギーや環境の最適化が図れるかをトータルに考える必要があります。
リアルなシミュレーションによる研究
それを探る手段として注目されているのがMBD(モデルベース開発)という開発手法です。従来のクルマの走行性能は、決まったテスト環境下での数値であり、実際にクルマをいろいろなシーンで使うユーザー実感との間にギャップを生んでいました。そこでMBDを使い、荷物が多い時の燃費はどうか、強風の状況では、坂道の多い街では、などさまざまな条件をリアルに、しかも短時間でデジタルシミュレーションし、複雑・多様化するパワートレインを真のユーザーニーズにフィットさせる研究が進んでいます。
MBDは自動運転分野でも活用されており、こうした開発技術の進化が、モビリティシステムの未来を後押ししているのです。
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先生情報 / 大学情報
金沢工業大学 工学部 機械工学科 ※2025年4月開設 教授 長沼 要 先生
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