デザイナーの経験まかせだった「デザイン感性」を科学的に検証する!
デザインの「感性」を学問的に研究する
工業製品などの「商品」をデザインする分野を「プロダクトデザイン」と言い、主にデザイナーが「感性」を生かしてデザインを行っています。しかしデザイナーの感性は、その人の経験によるところが大きく、デザイナーのいいと思うものが、ほかの人もいいと思うとは限りません。ものづくりには、デザイナーだけでなく技術系のスタッフも関わります。しかしデザイナーが感性で生みだしたデザインを、技術者は「単なる思いつきなのでは?」「どうしてこういう形なのか?」と感じてしまうことが往々にしてあります。
デザインの効果を検証し製品に反映する
こうしたデザイナー個人の経験に依存する感性を、もっと客観的に分析できないか、と始められたのがデザイン感性の研究です。例えば雑誌の表紙であれば、被験者にさまざまな表紙を見せ、「どんなものが記憶に残りやすいのか?」などの分析を行っていきます。また自動車のデザインでも、前のシートと後部座席の間ではコミュニケーションがとりにくいのが一般的ですが、「どんな座席の配置にすればいいのか」を、デザイナーの感性だけに頼らず、実際に座席を動かしてみてその効果を検証し、製品づくりに生かしていきます。
いまや「KANSEI」という世界共通語に
こうした感性の研究は、まだまだ始まったばかりの領域で、「どんなものを対象に、どのように実験・検証するか?」というパターン(型)のようなものがありません。すなわち研究自体に新しい発想が求められるのです。逆に言えば「こんなものを調べたら面白い」という発想力さえあれば、研究のフィールドは無限に広がっていきます。いまや感性という言葉は、「sensitivity」ともニュアンスが異なるため、「KANSEI」という世界共通語となっています。今後はますます日本発のオリジナルな研究が求められていくと予想されます。
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先生情報 / 大学情報
千葉工業大学 創造工学部 デザイン科学科 教授 佐藤 弘喜 先生
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