自動車からのCO₂排出削減ミッションに挑む!
ガソリンに税金を上乗せするには限界がある
地球温暖化問題を解決するため、各国は温室効果ガスの削減目標を掲げ、二酸化炭素(CO₂)排出削減の取り組みを続けています。一方で活発な経済活動にはCO₂排出をともなうエネルギーが必要で、日本も難しい対応を迫られてきました。その中で輸送を担う運輸部門でも、何とかCO₂排出を抑えようと試行錯誤しています。
ガソリンを値上げすればその利用は抑制できるでしょう。日本でも地球温暖化対策のための税金が存在しますが、極めて低い税率であるため、明らかな抑制効果にはつながっていません。また税率を上げれば物流コストがさらに高くなり、経済活動に大きな打撃を与える可能性があります。
自動車の性能向上で低公害化を実現
そこで国内では、化石燃料の炭素の含有量に応じて税金をかける「炭素税」より、自動車の性能向上を図ることで排出されるCO₂を抑制する取り組みに力が入れられてきました。例えば、一定以上の環境性能を持つ自動車の購入時に政府が補助金を出したり、減税をするなどの優遇政策がとられてきました。これによって自動車の低公害化が進み、CO₂の排出量は減少傾向にあります。ハイブリッド車の割合が増えていますが、今後は水素自動車などの、さらに性能の良い自動車の増加も期待されるところです。
モーダルシフトやコンパクトシティといった対策も
別の試みとしては、自動車に代わって鉄道や船舶で運搬する「モーダルシフト」が進められています。しかし企業にとっては自動車を使う方が利便性が高いのは事実です。そこで政府は鉄道や船舶への転換費用の一部を補助したり、一定の取り組みを行っている企業にエコレールマークやエコシップマークを付与したりしてモーダルシフトを推奨しています。また、自動車に依存せず暮らせる「コンパクトシティ」の実現なども視野に入ってきます。
このように経済活動と環境問題の関係性を見ながら、排出されるCO₂の削減にさまざまなアプローチで挑むことは社会的に大きな意義があるのです。
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先生情報 / 大学情報
東京女子大学 現代教養学部 国際社会学科 経済学専攻 教授 二村 真理子 先生
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