身の回りのさまざまな物に使われている「制御」の技術

身の回りのさまざまな物に使われている「制御」の技術

「動く」「止まる」から、さらに高度な動きへ

自動車、飛行機、エアコン、エレベーターなど、私たちの身の回りには、さまざまな動くものがあり、動かすためには、制御の技術が使われています。制御の技術は年々、進化しており、動く、止まるだけではなく、いかに効率よく、的確に動かすかが求められるようになってきています。例えばエアコンであれば、複数の人が室内で動いても温度が一定になるように動かす、電気の使用量を考えて、電気代がかからないように動かすといった具合です。

データを直接用いた制御(データ駆動制御)へ

制御するには、物の特性を知ることが必要です。先ほどのエアコンであれば、部屋の温度を上げるのに、どれぐらいの電力を使えば、どれだけの温度が上がるのかといったことをつかみ、数式を使ってプログラムしていくのが基本です。ただ、これは非常に手間のかかる作業です。例えば、2人が部屋に入ると1度室温が上がるという現象があるとしても、夏と冬では変わりますし、20人入れば、10倍の10度上がるかというと、そういうわけではありません。
そのため最近では、データ駆動という制御の方法も使われるようになってきました。これは、複雑な数式の代わりに、温度が上がったという現象に対して計算を行い、エアコンを動かすという方法です。この方式でも、従来型の制御とほぼ似た制御になるため、データ駆動の方が、複雑な数式を使わない分、費用を抑えられるという利点があります。

文明の進化が続く限り、制御も進化していく

制御は、これからもどんどん進化していくことが予想されます。自動運転の車でも、走る、曲がる、止まるといった基本の動きのきっかけはAI(人工知能)が指示を出し、実際の動きは制御の技術が担う形になるでしょう。ビッグデータやIoT(モノのインターネット)などの分野でも、制御の技術と組み合わせることで、今まででは考えられなかったものが生まれる可能性があります。文明の進化が続く限り、制御も進化していくことは間違いないのです。

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電気通信大学 情報理工学域 II類(融合系) 計測・制御システムプログラム 教授 金子 修 先生

電気通信大学 情報理工学域 II類(融合系) 計測・制御システムプログラム 教授 金子 修 先生

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制御工学、機械工学、通信・情報工学

メッセージ

「制御」は、機械を望ましく動かすにはどうしたらいいかを考える学問です。自動車、家電製品、飛行機など、さまざまな身の回りの物に制御の技術が使われています。この研究には、数学が必要です。
大学には、あなたが今高校で学んでいる勉強とは違った数学があり、恐らくもっと楽しんで学ぶことができると思います。ですから、受験勉強は大変かもしれませんが、頑張ってください。そして大学に入って、さまざまな学問に触れてみてください。

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電気通信大学は、東京にある理工系国立大学で、「工学」と「理学」のうち、特に情報分野および理工分野を核とした教育研究を行っています。先端科学技術を支える全分野、例えば、情報、通信、電子、知能機械、ロボティクス、光科学、物理、量子、化学、物質、生命などの分野を網羅しています。社会で活躍する人材の育成をめざし、ものづくりに意欲を燃やす学生の期待に応える教育環境を提供します。