AI(人工知能)の進歩には、人間理解がカギになる!
人とAIは、どうしたら協調できる?
グーグル社が開発した囲碁AI(人工知能)の「AlphaGo(アルファ碁)」が人間のトップ棋士を下したり、自動運転の自動車が現実のものとなりつつあるなど、AIが注目を集めています。そこでテーマとなるのが、「人とAIとの協調」です。人とAIが協調できるかを考える場合、まず理解すべきは人間同士のコミュニケーションの特徴です。目の前の人が「ありがとう」と言いながら横柄な態度をとっていると、「本当は自分に感謝してくれていない」と感じます。実は、コミュニケーションにおいて、言葉によって伝わる情報(言語的な要素)はわずか2割程度で、残りの8割の情報は動作や表情、雰囲気など(非言語的な要素)によって伝わっているのです。
「非言語的な要素」をいかにAIに取り込むか?
現在のAIは2割の「言語的な要素」に頼っているのが現実です。そこで「非言語的な要素」である8割のデータをどうやって集め、それをいかにしてAIの判断材料とさせるかが検討されています。
例えば、教員と学生の間のコミュニケーションでデータを取るケースを見てみましょう。どれだけ授業を理解しているかを判断する材料となるのは「うなずき」の動作です。授業中、学生にスマートフォンを首からかけてもらい、うなずく動作を測定します。うなずきの速さや頻度などを周波数で解析することによって、コミュニケーションの質を判断する材料にします。
状況差が大きい人間の動作
しかし、人対人のコミュニケーションを分析していて問題となるのは、動作には状況による差が大きいということです。例えば、挨拶をする場合、目上の人には、頭をより深く下げます。相手の立場に応じて動作が変化しています。また、その時の体調などによっても、動作は変わります。つまり、非言語的なコミュニケーションは、状況に応じて変化するので、AIの可能性を追究するには、もっと人間について理解する必要があるのです。
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先生情報 / 大学情報
金沢工業大学 情報理工学部 知能情報システム学科 ※2025年4月開設 教授 山本 知仁 先生
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