「地域みんなで支え合う」、それがこれからの社会福祉のあり方だ!
社会福祉を変えた「ノーマライゼーション」
かつての社会福祉は、福祉施設への入所が中心で、自立するのが難しい障がい者、高齢者などは、地域から隔離された施設で人生を過ごしていました。しかし、北欧を起点に「施設で暮らすことが本当に正しい福祉なのか」という問い直しがされるようになりました。そして、1981年の国際障害者年以降、住み慣れた地域で、「障がいのある人もない人も高齢者も共に生きる」ことが当たり前の社会だという、「ノーマライゼーション」の考えが全世界に広がるとともに、「地域福祉」という考え方や実践が重視されるようになりました。
地域住民を巻き込んだ社会福祉の仕組み
住み慣れた自宅や地域で安心して暮らすための仕組みとして「地域福祉」の実現が求められる一方、少子高齢化にともない、老老介護の末に殺人や心中に至る事件や虐待など多くの問題も起こっています。家族や地域の人間関係も希薄になるなか、住民の孤立をどうやってなくすかが大きな課題になっています。
そこで今日の地域福祉においては、医療・福祉の専門的なサービスの充実とともに、地域の人々がつながり支え合うインフォーマルサポートへの期待が高まっています。
高齢者の地域での暮らしは、専門的なサービスだけでは支えられません。住民どうしで見守り、支え合うことも重要であり、そこに在宅医療や在宅福祉の専門的なサービスを連携させることによって、地域ぐるみのケアを実現することが重要です。近年このような体制を市町村単位で構築しようとする「地域包括ケアシステム」の動きが活発になっています。
社会福祉の専門職のサポートがカギ
地域包括ケアシステムをうまく運用するには、福祉や介護の専門職による働きかけ、情報の発信が大切です。地域課題やその解決のための取り組みをわかりやすく伝えて潜在的な住民パワーを引き出し、住民と対話を進めて住民と専門職が力を合わせることへの理解をうながします。地域包括ケアシステムでは、住民の主体性をサポートする福祉の専門職の役割がカギを握っているのです。
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先生情報 / 大学情報
鳥取大学 地域学部 地域学科 地域創造コース 准教授 竹川 俊夫 先生
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