講義No.08194 社会福祉学

「地域みんなで支え合う」、それがこれからの社会福祉のあり方だ!

「地域みんなで支え合う」、それがこれからの社会福祉のあり方だ!

社会福祉を変えた「ノーマライゼーション」

かつての社会福祉は、福祉施設への入所が中心で、自立するのが難しい障がい者、高齢者などは、地域から隔離された施設で人生を過ごしていました。しかし、北欧を起点に「施設で暮らすことが本当に正しい福祉なのか」という問い直しがされるようになりました。そして、1981年の国際障害者年以降、住み慣れた地域で、「障がいのある人もない人も高齢者も共に生きる」ことが当たり前の社会だという、「ノーマライゼーション」の考えが全世界に広がるとともに、「地域福祉」という考え方や実践が重視されるようになりました。

地域住民を巻き込んだ社会福祉の仕組み

住み慣れた自宅や地域で安心して暮らすための仕組みとして「地域福祉」の実現が求められる一方、少子高齢化にともない、老老介護の末に殺人や心中に至る事件や虐待など多くの問題も起こっています。家族や地域の人間関係も希薄になるなか、住民の孤立をどうやってなくすかが大きな課題になっています。
そこで今日の地域福祉においては、医療・福祉の専門的なサービスの充実とともに、地域の人々がつながり支え合うインフォーマルサポートへの期待が高まっています。
高齢者の地域での暮らしは、専門的なサービスだけでは支えられません。住民どうしで見守り、支え合うことも重要であり、そこに在宅医療や在宅福祉の専門的なサービスを連携させることによって、地域ぐるみのケアを実現することが重要です。近年このような体制を市町村単位で構築しようとする「地域包括ケアシステム」の動きが活発になっています。

社会福祉の専門職のサポートがカギ

地域包括ケアシステムをうまく運用するには、福祉や介護の専門職による働きかけ、情報の発信が大切です。地域課題やその解決のための取り組みをわかりやすく伝えて潜在的な住民パワーを引き出し、住民と対話を進めて住民と専門職が力を合わせることへの理解をうながします。地域包括ケアシステムでは、住民の主体性をサポートする福祉の専門職の役割がカギを握っているのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

鳥取大学 地域学部 地域学科 地域創造コース 准教授 竹川 俊夫 先生

鳥取大学 地域学部 地域学科 地域創造コース 准教授 竹川 俊夫 先生

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地域福祉学

先生が目指すSDGs

メッセージ

大学で過ごす4年間は意外と短いので、高校時代から夢を描き、それが実現できる大学を選ぶことが大切です。私は偏差値で大学を選んでしまって入学後に何をすべきかわからなくなった苦い思い出があります。
ぜひ、夢を持って大学に入り、1年生の時から、それに合った勉強、活動に取り組んでください。そしてそのために、高校時代から本や新聞を読んだり、地域の活動に参加するなど、多くのことに関心を持ってほしいと思います。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

鳥取大学に関心を持ったあなたは

鳥取大学は、教育研究の理念に「知と実践の融合」を掲げ、高等教育の中核としての大学の役割である、人格形成、能力開発、知識の伝授、知的生産活動、文明・文化の継承と発展等に関する学問を教育・研究し、知識のみに偏重することなく、実践できる能力をつけるように努力しています。また、研究・教育拠点、幅広い専門的職業人の養成、地域の生涯学習機会の拠点、社会貢献機能など個性輝く大学を目ざし、地方大学にこそ求められるオンリーワンの研究開発を行い、社会に貢献し、国際的競争力を確保できる大学運営を目ざしています。