障害のある人が社会で活躍するには?

インクルーシブ社会の実現に向けて
障害の有無などにかかわらず、誰もが尊重されて共生できる「インクルーシブ社会」を実現するために、その基礎となる「インクルーシブ教育」の実現が求められています。しかし、日本では中々取り組みが進んでいないのが現状です。一方企業では、従業員数に応じて障害のある人を一定数雇用することが法律で義務づけられ、力を入れている企業もあります。また特別支援学校では、卒業後に障害のない人とともに企業で働くための就労支援を行っています。
進路指導教員の重要性
そこで大きな役割を果たしているのが「進路指導教員」で、中には生徒が活躍できそうな職場を次々と見つけてくる人がいます。ただし、教員個人の感覚や経験値に依存する部分が多く、その手法は共有されていません。ノウハウを広めるために、就労支援に長けている教員にインタビュー調査が行われました。
調査の結果、そうした教員は生徒だけでなく、企業の担当者や生徒の保護者も入念に分析して、特徴を見極めていることがわかりました。企業担当者や保護者はどのような考えを持っているのか、生徒が就職した後にどうサポートしてくれそうかなどをきちんと把握した上で、就職先候補を探します。また、生徒の強みを見いだし、職場でどう生かせそうかをイメージします。そして実際の職場を見てイメージと合致するかを確かめていました。さらに候補に残った企業で生徒に職場実習をさせて、長く働けそうかも確認した上で就職先を決定します。
どうしたら可能か
この方法を実践するには、教員が進路指導に集中しやすい状況を作らなければなりません。企業を訪問して情報を得ることや、保護者や生徒と面談を重ねて信頼関係を築くことが求められるからです。しかし授業の担当時間数の多い進路指導教員は、進路指導にまとまった時間を割けません。勤務時間内に進路指導教員が自由に動ける機会を確保できるように、教育現場の改善が求められています。ほかにもよりよい就労支援を実現するための方法を提案しようと、研究が続いています。
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山口学芸大学教育学部 教育学科 准教授河村 佐和子 先生
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