未来をシミュレーションして砂浜を守れ!
海岸工学ってなに?
海岸工学は、私たちが生活をする上で欠かすことのできない、都市、交通、地域、環境をつくる土木工学の一分野です。例えば、港や防波堤をつくるといったことですが、つくるだけでなく、それによって起こる環境の変化も考えます。
防波堤など構造物をつくると潮の流れが変わり、周辺の砂浜や漁業に影響を与えます。時には、生態系が変わってしまうこともあります。ものをつくりっぱなしにするのではなく、環境へ与える影響も考慮して、海岸と周辺の海をケアすることが必要です。
変化を予測してヒントをみつける
構造物で周辺の波や流れが変わり、砂浜が削られることを侵食と言います。自然に削られるのではなく、人のつくったものが原因で削られるので、さんずいの「浸食」ではなく、にんべんの「侵食」と表します。砂浜はいつまでも自然の姿であるわけではなく、人の手を加えられながら変化しています。
構造物をつくるときに、事前にその変化を予測することが、砂浜を守るヒントにつながります。『海浜変形予測』では、ものをつくった後の海底の地形の変化をシミュレーションすることができます。風が吹いたときや低気圧が来たとき、沖からどんな波がやってくるのか、まず波の大きさを計算します。そして、波の力によって起こる流れ(海浜流と呼びます)と、さらに、海浜流の力で動く砂の様子を模擬的に計算します。つまり、波の力と流れの力で、海中の地形がどのように変わるのかを予測するのです。
適した対策を立てるには
侵食を防ぐためにブロックを置くにしても、コストを削減しながら、最適なものを設置しなくてはなりません。そのためには実際に海へ出て、シミュレーションの結果を検証し、精度を上げることが大切です。1980年代にいくつかの数値モデルができてから、研究開発が進み、現在は平面的な2次元流れではなく、3次元流れのモデルで予測することが可能になりました。今後も、長い期間の予測がより正確にできるように、研究が進められていくでしょう。
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先生情報 / 大学情報
鳥取大学 工学部 社会システム土木系学科 教授 黒岩 正光 先生
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