病原体を特定せよ! 感染症の診療のカギを握る「臨床検査」
感染症の原因となる病原体を特定する
臨床検査技師の仕事は、生理機能検査(心電図検査、脳波検査、超音波検査など)、血液検査、免疫検査、輸血検査、病理細胞検査、微生物・感染症検査、遺伝子検査など、多くのジャンルに分けられます。
感染症の検査では、細菌や真菌(いわゆる、カビや酵母)、ウイルス、寄生虫などの病原微生物が対象となります。それぞれの微生物は生活様式が異なるので、検査の手法もそれぞれです。例えば、細菌は単細胞生物であり寒天培地(炭水化物やたんぱくなどの栄養分を寒天で固めたもの)で分裂増殖をすることができます。ですから、患者さんの検体に存在する細菌は培地で増やして見ることができます。この培地で発育した細菌を調べて、感染症の原因を追究していきます。
有効な抗菌薬を早く知る
細菌にはさまざまな種類があり、細菌の種類によって有効な抗菌薬(いわゆる抗生物質)が異なります。感染症の原因となった細菌に対してどの抗菌薬が効くかを調べることは患者さんの治療を円滑に進めるために大変重要です。医師は、この検査結果をもとに、治療を進めていきます。しかし、通常、細菌の培養に約1日、効果のある薬がわかるまでは検査開始から約2~3日を要します。現場ではより早期の治療が求められるため、検査の途中で得られた情報を基に、早い段階で適切な抗菌薬を推測し、医師や薬剤師とコミュニケーションをとることが極めて重要なポイントとなります。
チーム医療が必要不可欠
感染症の原因となる細菌はさまざまな特徴を見せてきます。顕微鏡でのぞいた時の菌の形態、培地での生え方、そして何より重要なのは好みの感染部位があることです。患者さんがどのような症状で、どういった場所(肺や腸などの臓器)で感染症を起こしているかは検査を進めていく上で極めて重要な情報です。現場では医師や看護師から患者さんの状態を聞いたり、こちらが推測した情報を医師や看護師、薬剤師と議論したりと、「チーム医療」がとても大切になります。
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先生情報 / 大学情報
関西医療大学 保健医療学部 臨床検査学科 教授 大瀧 博文 先生
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