首の後ろを温めると、どうして手足が温かくなるの?
お湯で温めたタオルを首に当てると何が起こる?
看護技術のひとつで、お湯につけて絞ったタオルを首の後ろに当てて温めることを、「後頸部温罨法(こうけいぶおんあんぽう)」と言います。こうすると体にはどのような変化が起こるのでしょうか?
もちろんタオルを当てている首の部分が温かくなりますが、それに加えて、手足など体の末梢部分もポッと温かくなることが研究で明らかになっています。女性に多い冷え性で手足の指先などが冷たくなってしまったとき、この看護技術を応用することでつらい思いを和らげることができます。
入院中でお風呂に入れない患者さんにも有効
なぜ、首の後ろを温めると、遠く離れた手足が温かくなるのでしょうか? そのメカニズムは、まだ完全にはわかっていませんが、交感神経・副交感神経などの自律神経が刺激されて温かくなっているのではないかということです。だとすれば、この方法は入院患者さんにとっても有効です。
病気の人は、体内の循環が悪くなりがちなので、手足が冷えることがあります。健康な人ならお風呂に入って温めればよいのですが、病気によっては入浴できない場合もあるので、この看護技術を活用できると考えられます。
看護技術として確立するための課題は“検証”
さまざまなメリットをもつ後頸部温罨法ですが、残念ながら現時点では、誰にでも使ってよいとは言えません。
温めるといっても、首に当てるタオルの大きさはどれぐらいがよいのか、またその温度や温める時間はどう考えればよいのか、それによって効果が変わることが予想されるのです。高血圧や血流障がいを抱えている人には、悪影響を与える可能性も考えられます。
確かな看護技術として認められるためには、エビデンス(科学的証拠)が必要です。後頸部温罨法についても、現在そうしたエビデンスを集めて検証が行われています。
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