日韓関係は、なぜ複雑なのだろう?
日韓関係の現状とは
日韓関係は民間では良好です。年齢に関係なく多くの人が観光で行き来しますし、文化面での交流も盛んに行われています。少し前には韓流ブームがありました。K-POPが好きな日本の若い人もたくさんいます。韓国人も日本のアニメやマンガ、音楽に心酔する人が多くいます。
しかし、政治面ではよい関係とは言えません。竹島問題、慰安婦問題と連日マスコミを賑わしています。このような問題はなかなか解決に至らず、事あるごとに浮上してきます。それは、なぜでしょうか?
政治的問題の原因は、両国間の歴史にある
これは日韓関係の歴史に原因があります。日本は1910(明治43)年の韓国併合によって韓国を統治下においていました。しかし、欧米のような植民地搾取はなかったという学説もあります。その主張は、当時の韓国は貧しく、日本の社会インフラ整備や教育の充実が韓国の近代化を作ったというものです。
日本の敗戦後、韓国との国交正常化交渉が始まりましたが、多くの問題でなかなか合意に至ることができず、交渉は長引きました。最終的に、1965年の日韓基本条約が締結され、政治的には解決しました。しかし、韓国国民は日本に対して愛憎入り混じった感情を持っており、日本の韓国に対する「戦後処理」は、心情的には解決しないまま、今に至っています。
お互いの顔を実際に見ることが大切
ただ、戦争を知らない若い人々が増えるなかで、このような過去を知る人は少なくなっています。しかし、日本に批判的な一部の人やマスコミがセンセーショナルに語るので、いまだに感情的問題が消えません。これに対して冷静に対処する人が、若い人を中心に増えています。政治的問題と文化交流、人的交流は別と考える人が増え、実際に交流するなかで、マスコミや政治家が語る歴史に疑いを持つ人も出てきています。政治的問題をすぐに解決するのは困難ですが、人的交流でお互いの実際の顔を見ることで、政治的問題が先鋭化しないように努めることが必要なのかもしれません。
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先生情報 / 大学情報
福岡大学 人文学部 東アジア地域言語学科 准教授 安藤 純子 先生
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