水面の多様な利用をめざすルールづくり
海や川で起こる新たな問題
ダイビングや水上バイク、ボートで川を下るラフティングなど、海や川での新しいレジャーが広まってきました。それにともなって、漁業などのもともとの利用者とレジャーを楽しむ人との間でトラブルが起きることがあります。産業的利用の場合は水面利用に関する法律が整備されていますが、レジャーについては利用を調整するような法律がないことも要因のひとつです。そのため、問題が起こると、関係者同士が話し合って解決する場合が多くあります。こうした事例を分析することで、「水面の利用調整」をうまく行うための方法が模索されています。
ルールをつくって問題を解決
例えば、遊漁(アユ釣り)とラフティングが盛んな河川の事例では、もともとあった遊漁の利用にラフティングによる利用が加わったことで、魚が逃げてしまうなどの問題が起きました。そこで関係者たちが話し合い、ラフティングの通過回数や通過時間を決め、トラブルを回避する仕組みをつくりました。それぞれの意見が食い違うことも多く、ルールの内容が決まるまでには長い時間を要しましたが、このルールによって多様なレジャーが円滑に河川を利用することができています。関係者が納得する妥協点をどうすればスムーズに見つけることができるのか、他にも解決策はあるのか、また、公平性などの視点からさらなる研究が求められています。
レジャーで地域を活性化
海や漁村の資源を使った地域振興は海業(うみぎょう)とも呼ばれ、レジャーもその手段のひとつだと考えられています。ダイビングなどのマリンスポーツを観光の目玉にしたり、ウォータースポーツに注目したまちづくりを行っている自治体もあります。日本は海に囲まれ、河川や湖も多い国ですが、海外に比べると海や川でのレジャーはそれほど普及していません。誰もが安全に気持ちよく海や川を利用できるようなルールづくりが進めば、マリンレジャーやリバースポーツを用いた地域活性化にもつながると期待されています。
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先生情報 / 大学情報
東京海洋大学 海洋生命科学部 海洋政策文化学科 准教授 原田 幸子 先生
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