災害時、被災者の健康と安心に貢献する「管理栄養士」
災害時に不可欠となる「管理栄養士」
地震などの大規模災害で活躍する人といえば、どんな職業を思い浮かべますか? まずは安否の確認や救助、ケガ人の治療などにあたる、自衛隊員や警察官、消防士、医師や看護師をイメージする人も多いでしょう。しかし実は、それらと同じように必要とされるのが「管理栄養士」です。
災害時には多くの人が避難生活を送ります。被災者が元気に過ごすためには、きちんとした栄養の摂れる食事が非常に重要です。なかでも高齢者や乳幼児、持病やアレルギーのある人たちは、特別な食事の支援を必要とします。その重要な役割を果たすのが管理栄養士なのです。
管理栄養士が安心と健康を提供
被災地では、全国から届くさまざまな支援物資を選別しています。栄養学の知識のない人が選別すると、糖質制限用の食料や流動食、乳児用といった物資が脇に押しやられ、必要な人に届かなくなってしまいます。また、下痢や食欲不振といった体調に適した食事のケアも必要です。管理栄養士は、それらを正しく行うことができます。
電気・水道・ガスといったライフラインが止まっていても、あるものだけを使っていかに炊き出しをするのかも、栄養士の腕の見せ所です。また、食事は楽しみや癒やしにもなるものです。毎日の食に変化をつける工夫も必要となります。被災地では、あらゆる面からの食生活支援が管理栄養士に求められるのです。
医療やスポーツなど、広がる活躍の場
このように災害時の知識を身につけた管理栄養士はいざという時に大いに活躍できるでしょう。現在、そうした管理栄養士の育成も進んでいます。
また、今は「食事による健康」が見直されている時代です。スポーツジムや高齢者施設などでの栄養サポートのほか、トップアスリートを栄養面から正しくサポートすることもできます。高齢者の地域包括ケアにおいても管理栄養士による食事面からの支援が求められています。管理栄養士の活躍の場は、ますます広がっているのです。
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先生情報 / 大学情報
修文大学 健康栄養学部 管理栄養学科 教授 小田 雅嗣 先生
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