失敗にはメカニズムがある! 看護師の「リスク感性」とは?
安全管理だけではミスを防げない!
人の生死がかかる医療現場では、失敗は許されないものです。しかし、医師も看護師も人間です。失敗してしまうことがないとは言えません。ひと昔前までは、失敗した人が悪いとされ、経験を積んで失敗しないようにするしかありませんでした。今は、安全管理のシステムやマニュアルも用意され、病院全体で医療事故を防ぐ努力を行っています。では、医療現場でのミスはなくなったのでしょうか? 残念ながら完璧にミスをなくすことはできていません。
失敗やミスには「メカニズム」がある
失敗しない、あるいはミスを大幅に減らすにはどうしたらいいのでしょうか? それには、失敗する「メカニズム」を理解した上で、リスクに対する感性を磨くことが必要です。例えば高齢の患者さんは、転倒や薬の飲み間違いといったリスクが考えられます。転倒事故はなぜ起こり、防ぐには何が必要でしょうか? 対策としては、床を滑りにくくする、ベッドの高さを低くするといったことが考えられ、これがリスクの回避につながります。
しかし、リスクの要因と対策は単純にはマニュアル化できません。患者さんの身体的あるいは精神的な状況や、病院の環境などによっても異なるからです。また、すべてをマニュアル化してしまうとその通りに動くことになり、患者さんに寄り添うことがおろそかになりかねません。
「リスク感性」を磨くことのメリット
リスクに対する感性は、決して「経験がものをいう」ものではありません。基本的な安全管理の理論を理解し、ケースに応じて考え、実践することが必要となります。そのためには、看護師がリスク感性を磨き、自ら考えて行動できるようになる教育が重要なのです。
そこから患者さんの話を聞いたり、関係性を築いたりといったことが「看る」ことにもつながるでしょう。リスク感性を磨くことで、看護師としての成長を促し、より良い看護に近づくことになるのです。
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先生情報 / 大学情報
修文大学 看護学部 看護学科 教授 相撲 佐希子 先生
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