アレルギーがあってもなくても、みんなで楽しく食べられる未来へ

深刻な食物アレルギー
食物アレルギーは、命にも関わる深刻な疾患です。そのため現在、日本では「卵、乳(牛乳)、小麦、エビ、カニ、そば、落花生(ピーナッツ)、クルミ」の8品目が、食物アレルギーの特定原材料として表示義務の対象になっています。
食物アレルギーは、特に子どもに多い疾患です。アレルギーがあると、友だちや家族と同じものを食べることができません。そうすると食べることが楽しくなくなり、食への興味を失ってしまうことがあります。また、その保護者も、子どもの様子を見てつらい思いをしたり、日々の食事づくりに苦労したりしています。
不足分を補う工夫
そんな中で必要とされているのが「アレルギー対応食」です。アレルギー対応食は、アレルゲンとなる食品を使わないことはもちろんですが、ただ除去すればいいというものではありません。特定の食品を除去すると、不足する栄養素が出てきます。その栄養素をどのように補うかまで考えて、工夫することが求められます。
例えば乳製品を除去すると、カルシウムが不足しがちです。その場合は、カルシウムを多く含む別の食品を活用します。カップケーキを作る場合、牛乳の代わりに豆乳を使用するなら、生地に細かく刻んだ小松菜を加えてカルシウムを補うといった具合です。
誰もがおいしく食べられるレシピを
栄養面だけでなく、おいしく食べられる配慮も必要です。その大切な要素の1つに「色」があります。卵が使えない場合にココナッツミルクや豆乳でプリンを作ると、どうしても白っぽい仕上がりになってしまいます。しかし、カボチャパウダーを加えれば普通のプリンのような色になり、見た目がおいしそうになって食欲を刺激することができます。
さらに、みんなと一緒に楽しく食事をするには、食物アレルギーの有無にかかわらず、誰もがおいしいと思える料理であることも重要です。このようなアレルギー対応食の開発が進み、楽しい食の体験が広がっていくことが期待されます。
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広島女学院大学人間生活学部 管理栄養学科 教授妻木 陽子 先生
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