栄養学から考える、危険な「思い込み」ダイエット
適正体重のハードルは高くない
「やせたい! スリムになりたい!」若い女性にダイエット願望はつきものです。その心理をあおるかのように、ちまたには無数のダイエット方法やサプリメントがあふれています。しかし、若い女性が理想とするモデルのような体型イメージは、実は「やせすぎ」です。BMIという指標があり、体重(kg)を身長(m)の2乗で割って求めます。これで22となるのが理想体重とされていますが、実際に計算してみると思っていたより重い数値に驚くでしょう。「やせ願望」を持つ女性の中には、実はやせる必要がない人が多いのです。
「もっとやせなければ」と思い込む危険
本当にやせる必要がある体重の場合でも、急激なダイエットは禁物です。限られた種類の食品しか食べない、極端に食事の量を減らすような行為は、いつかは身体と心の不調につながります。健康維持に必要な栄養バランスが崩れて生理不順を引き起こしたり、エスカレートすると「もっとやせなければ」という強迫観念にとらわれ、食べることを罪悪視してしまう拒食症(思春期やせ症)になったりする危険をはらんでいます。特に体と心の発達バランスが不安定な思春期には、友だちと自分を比較して「私は太っている」と思い込み、過度なダイエットに走るケースがみられます。
栄養バランスを考慮した食生活が大切
健康的にやせるには、栄養バランスのとれた食事で摂取エネルギーを抑え、運動で消費エネルギーを増やし、月に1 kgぐらいのペースでゆっくりと体重を減らすのがベストです。1日に食事から摂取するエネルギーのうち、タンパク質・脂質・炭水化物の3大栄養素から得るエネルギーのバランス(PFCバランス)も大切です。自分が食べたものや分量を毎日記録すれば「今日はご飯(炭水化物)を食べすぎたから、明日は減らそう」という意識づけもできます。食べることの大切さ、栄養素の重要性をしっかり認識して、ヘルシーな体型をキープすることが本当のダイエットなのです。
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先生情報 / 大学情報
修文大学 健康栄養学部 管理栄養学科 講師 多田井 幸揮 先生
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