血液や唾液からアスリートのパフォーマンス向上の指標を見いだす!

血液や唾液からアスリートのパフォーマンス向上の指標を見いだす!

特徴的なアスリートのからだ

アスリートは日々ハードな練習を行っています。普通の人々よりも長時間のトレーニングにも耐えるスタミナや体力を身につけています。一方で、鍛え上げられた筋肉は大量のエネルギーを消費しており、さらに過酷なトレーニングでストレスを多く受けています。こうしたアスリートのエネルギー代謝やストレス反応について、血液や唾液を使う臨床検査を用いた研究が行われています。

体のメカニズムを理解する手段に

実験では、アスリートの血液を採取して血液中のタンパク質やミネラルなどの量を測定し、これらの不足がパフォーマンスにどのように影響しているのかを調べます。また中性脂肪を分解するLPL(リポタンパクリパーゼ)と筋肉量との関係も調べます。LPLは筋肉や脂肪から作られる酵素で、GPIHBP1という物質を介して血管内に移動・保持され、中性脂肪を分解しエネルギーに変換します。研究の結果、レスリング選手のように骨格筋が多い人はLPLとGPIHBP1の量が多いことがわかっています。
こうした研究結果は、アスリートがどのようにうまく筋肉でエネルギーを利用しているかなど、体のメカニズムを知る手段となります。また、サルコペニアという筋肉量の低下した状態は病状を悪くすることが知られるようになり、多くの患者さんがこの問題を抱えています。LPLの研究がサルコペニアのメカニズムにも結びつき、新たな薬や栄養療法の発見へつながることも期待されます。

唾液でストレスの量を測定

最近は、血液より採取が簡単な唾液を使った測定も行われています。唾液には糖や脂質代謝に関連するコルチゾールというホルモンが含まれ、ストレスを受けるとその量が増えます。アスリートは激しい練習などのストレスを繰り返し受けるとオーバートレーニング症候群になり、コルチゾールがストレスに反応せず、リズムも消失してしまいます。唾液でコルチゾールのリズムとストレス反応を知ることで選手の体調を知り、パフォーマンス向上の指標に活用できることも期待されます。

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群馬大学 医学部 医学科 講師 常川 勝彦 先生

群馬大学 医学部 医学科 講師 常川 勝彦 先生

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臨床検査医学、スポーツ医学

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メッセージ

高校時代は勉強だけではなく、部活でも好きなことでもいいので、何かに興味を持ち、それに対して一生懸命取り組んでほしいです。例えば部活の場合、「もっとうまくなりたい」「もっと上に行きたい」と明確な目標を持ち、その目標に向かってどう取り組むか、具体的な道筋を立てていくことが重要です。私たちの研究でも、明らかにしたいことを目標として、それを解決するために具体的な道筋を立てて実験や研究を行っていきます。目標に向かって段階的に物事を進めていく力は、将来、社会人になった時にきっと役立つことでしょう。

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群馬大学は北関東を代表する総合大学として、優れた人材を育成し、学問の研究と応用、福祉への貢献など、社会的使命を果たすことを特色としています。「社会のニーズに配慮しつつ細分化から総合化へ」という理念を研究面、及び教育面に具体的に実現させ、「研究活動面における社会との連携及び協力」に高く評価される形となって生かされています。