講義No.12762 食物・栄養学

それぞれの普通がある食生活 管理栄養士に求められる指導とは?

それぞれの普通がある食生活 管理栄養士に求められる指導とは?

食生活は簡単に変えられない

管理栄養士の仕事のひとつとして、糖尿病や腎臓病といった病気を持つ人に向け、どういった栄養管理(食事)をすればいいのかを指導することが挙げられます。例えば腎臓病になると一般的に肉や魚など、たんぱく質を多く含む食材を控えた食事となります。また、腎臓を移植手術し状態が安定すると、その食事を続ける必要はありません。特に子どもの腎臓病患者さんの場合、移植前の食事を続けていては成長の妨げになる可能性もあるため、適切な栄養の指導が必要となります。しかし研究では、長年の習慣を続ける形で移植前と同じような食事を続けてしまうケースが報告されています。

食生活の「普通」を否定しない

ほかの人から見て問題があったとしても、その人にとって長年続けてきた食生活は「普通」として定着していることがあります。例えば、肉じゃがの肉だけでも、家庭によって豚肉、牛肉、鶏肉と「普通」は異なるでしょう。人は、定着した習慣や考え方を簡単には変えられません。そのため、問題のある食生活だとしても、頭ごなしに否定されては、患者さんは病気の症状の改善や健康を維持するようなアドバイスも受け入れなくなってしまいます。患者さんがこれまで取り組んできたことを認めながら、現状の改善や現状を維持するためにどうすればよいのか、相手に寄り添ったアドバイスが必要になります。

大切なのは長期間続けられる方法

ライフスタイルに根付いた食習慣は、急にがらりと変えることは難しいうえに、「何かを食べてはいけません」と禁止や強制する形になると、怒られたような気持ちになってしまうこともあるでしょう。患者さんの食生活の現状を聞き、その人に合い、長期間にわたって取り組めそうなアドバイスをすることが求められます。例えば「子どもがおやつをたくさん食べてしまう」という悩みであれば、食べる量のみお皿に入れる、小分けで販売されているものに変更する、といったような行動もおやつの食べ過ぎを防ぐアドバイスです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

常磐大学 人間科学部 健康栄養学科 准教授 大津 美紀 先生

常磐大学 人間科学部 健康栄養学科 准教授 大津 美紀 先生

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栄養学

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メッセージ

「自分の普通」は「他の人の普通」ではありません。例えば、これまで家庭で食べてきた目玉焼きひとつをとっても、ソースやしょうゆなど味付けはさまざまですし、黄身を2つ焼くのが当たり前という家庭もあります。栄養士・管理栄養士の仕事をする上で、そういった違いがあることや、その一方でどのような食事・量が一般的なのかを把握しておくことはスキルです。普段から、友人や家族、そして自分はどういったものを食べているのかということに気をつけて見てみましょう。

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

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常磐大学は、茨城県水戸市に位置し、3学部9学科を擁した地方総合大学です。学園創立100余年の歴史と伝統を礎に、「実学を重んじ真摯な態度を身につけた人間を育てる」という建学の精神のもと、実学重視のカリキュラムを展開。地域に密着したリアルな学びで社会に貢献できる実践力を養います。
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