それぞれの普通がある食生活 管理栄養士に求められる指導とは?
食生活は簡単に変えられない
管理栄養士の仕事のひとつとして、糖尿病や腎臓病といった病気を持つ人に向け、どういった栄養管理(食事)をすればいいのかを指導することが挙げられます。例えば腎臓病になると一般的に肉や魚など、たんぱく質を多く含む食材を控えた食事となります。また、腎臓を移植手術し状態が安定すると、その食事を続ける必要はありません。特に子どもの腎臓病患者さんの場合、移植前の食事を続けていては成長の妨げになる可能性もあるため、適切な栄養の指導が必要となります。しかし研究では、長年の習慣を続ける形で移植前と同じような食事を続けてしまうケースが報告されています。
食生活の「普通」を否定しない
ほかの人から見て問題があったとしても、その人にとって長年続けてきた食生活は「普通」として定着していることがあります。例えば、肉じゃがの肉だけでも、家庭によって豚肉、牛肉、鶏肉と「普通」は異なるでしょう。人は、定着した習慣や考え方を簡単には変えられません。そのため、問題のある食生活だとしても、頭ごなしに否定されては、患者さんは病気の症状の改善や健康を維持するようなアドバイスも受け入れなくなってしまいます。患者さんがこれまで取り組んできたことを認めながら、現状の改善や現状を維持するためにどうすればよいのか、相手に寄り添ったアドバイスが必要になります。
大切なのは長期間続けられる方法
ライフスタイルに根付いた食習慣は、急にがらりと変えることは難しいうえに、「何かを食べてはいけません」と禁止や強制する形になると、怒られたような気持ちになってしまうこともあるでしょう。患者さんの食生活の現状を聞き、その人に合い、長期間にわたって取り組めそうなアドバイスをすることが求められます。例えば「子どもがおやつをたくさん食べてしまう」という悩みであれば、食べる量のみお皿に入れる、小分けで販売されているものに変更する、といったような行動もおやつの食べ過ぎを防ぐアドバイスです。
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常磐大学 人間科学部 健康栄養学科 准教授 大津 美紀 先生
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