未来の光電変換デバイス、有機ELと有機太陽電池が創る、明るい未来
有機化合物で「薄い、軽い、柔らかい」を実現
テレビやパソコン、スマートフォンやLED電球などの電化製品や太陽電池には、「電気を光に変える」「電気の流れを制御する」「光を電気に変える」などの電子デバイス(装置)が使われています。これらのデバイスは無機物を使うことで進化してきましたが、有機化合物を使った研究が現在、進んでいます。
無機物を使った場合、製造コストが高く、硬いので製品の大きさや形も制限されます。一方、有機半導体材料を使えば、「薄い、軽い、柔らかい」製品を作ることができ、また低コスト化の実現も可能です。アップル社が2017年に発売予定のiPhoneに有機ELディスプレイを採用すると発表するなど、世界的にも注目を集めています。
壁掛けテレビを印刷で作る時代が来る?
電気を光に変える有機ELと、光を電気に変える有機太陽電池は、逆の機能を持つデバイスで、ひとくくりにして「光電変換デバイス」と呼びます。使用する有機半導体の材料は身の回りにあるプラスチックの仲間で、電気を流したり光ったりする特別な構造です。溶剤に溶かしてインク化できるので、プリンターで電子デバイスを作ることもできます。耐久性や、見た目を損なわないように薄くする技術の向上など、製品化には課題もありますが、壁掛け用テレビのディスプレイを印刷して作る時代が来るのも、そう遠くないかもしれません。
省エネ&快適空間が期待される「発電する窓」
透明性と発電機能を併せ持つ太陽電池パネルの開発も進んでいます。有機薄膜太陽電地を使うことで、太陽光や室内光によって簡単に発電することができ、また赤外線や紫外線を遮蔽(しゃへい)する効果があるので、室内の温度上昇を抑制したり、物の色あせや日焼けなどを防いだりすることも期待できます。
太陽光を当てると劣化するという問題点を克服し、薄くて、軽くて、柔らかく、さらに透明にすることで、「発電する窓」の実用化に向け、スマートハウスによる実証実験も始まっています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
山形大学 工学部 高分子・有機材料工学科 准教授 笹部 久宏 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
有機デバイス工学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?