宇宙線はどこから来るの?
宇宙線はどこから飛んでくる?
「宇宙線」とは、宇宙から飛んでくる放射線(高速の粒子や電磁波)の総称です。発生源や発生条件など、まだ解明されていない点が多く、様々な手法で研究が行われています。その中でも有力な手段の一つが超高エネルギーガンマ線の観測で、スペイン領カナリア諸島にある大型の望遠鏡などで観測が行われています。超新星爆発で星が死んだ後に再び天体活動が始まると、宇宙線を作りながらガンマ線を放出することがわかってきました。例えば超新星爆発の残骸、爆発後に残された中性子星のパルサーとその周囲のパルサー星雲、そして銀河の中心でジェットを吹き出している巨大なブラックホールなどがガンマ線天体として見つかっています。
宇宙線観測の難しさ
宇宙線はほとんどが陽子(プロトン)で、宇宙線陽子が出すガンマ線を観測してその起源を知りたいのですが、陽子だけでなく宇宙線電子もガンマ線を出すため、ガンマ線の観測だけで親粒子の種類を区別することは簡単ではありません。陽子が生まれる場所や発生する過程を突き止めるためには、他の波長と連携して観測したり、ガンマ線観測の精度をさらに上げたりしなければなりません。そのために新たな天文台が建設されており、宇宙線発生メカニズムの解明が期待されています。
可視光の観測にも応用
また、ガンマ線観測技術を応用する研究が進んでいます。ガンマ線観測に使う光センサを改造すると、高速で明るさが変動する天体を観測できる、高性能の可視天体観測装置を作ることができます。この光センサは光の粒子である「光子」を一つひとつ検知できる性能を持っていて、検知したタイミングを精密に測定することができます。可視光天体観測に適応するように改造することで、独自の観測システムが開発されました。この可視光天体センサは手のひらに収まるほど小型なので、アマチュアの天体愛好家が使うような比較的小さな望遠鏡にも装着可能です。ただしセンサ面積が小さいために効率よく観測がしにくいという課題があり、まだまだ改良の余地があります。
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山形大学 理学部 理学科 物理学コースカリキュラム 教授 中森 健之 先生
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