金属をつなぎ、社会を支えるものづくりの技術「ろう付」

金属をつなぎ、社会を支えるものづくりの技術「ろう付」

はんだ付、ろう付

金属を接着剤として金属部材を接合する方法は、接着剤になる金属の溶融点により、「はんだ付」と「ろう付」に分かれます。450℃程度までははんだ付、450℃以上の高温はろう付が用いられます。高温になる可能性のある部材の接合には、ろう付を使うのです。「溶接」が金属母材を一部溶かして接合するのに対し、ろう付は母材をほとんど溶かさずにろう材のみを溶かして接合します。そのため、母材の特性を損なわずに接合できるのが特徴です。ろう付は、身近なところでは水道の蛇口や給湯器、エアコンなど、温度上昇が見込まれて水漏れが許されない部品の接合に使われています。ろう材として使われる金属は多種あり、接合する部材との相性で選ばれます。

異素材接合の課題

近年、地球温暖化対策や省エネルギーの観点から、自動車などの軽量化が強く求められるようになっています。そのため、軽量な材料であるアルミニウムと、強度や耐熱性に優れた鉄を組み合わせて使うニーズが増えてきました。しかし、アルミニウムと鉄では溶融温度が大きく異なるため、溶接で接合することは不可能と言われています。ほかの接合手段として筆頭にあがるのが、ろう付です。しかし、アルミニウムと鉄では溶融温度以外の性質も大きく異なるため、双方に相性のよいろう材はまだ見つかっていません。そのため、適切なろう材の開発が課題となっています。

新しいろう材を求めて

この課題に取り組むために、従来の経験に基づく材料開発に加えて計算材料学を活用した材料設計も試みられています。計算材料学では、コンピュータシミュレーションを用いて材料の特性を予測し、最適な材料設計を行います。しかし、計算に必要な基礎物性データの不足が障壁となっており、データの収集と蓄積が急務となっています。
ろう付は、紀元前のエジプト時代から使われていました。長い間、縁の下で社会を支えてきた技術ですが、サイエンスとしての研究が始まったのは100年ほど前であり、未知の部分はたくさん残されています。

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東海大学 工学部 機械工学科 教授 宮沢 靖幸 先生

東海大学 工学部 機械工学科 教授 宮沢 靖幸 先生

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界面接合工学、接合科学

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周りがかけてくるいろいろなプレッシャーに惑わされずに、自分が興味を持って何十年も続けていけるものを探すことに注力してください。大学は専門的なことを学ぶ場所ですから、その専門に興味を持ってほしいです。興味を持ったものに対しては、一生懸命になることができて勉強も身につきます。そして、「よく遊びよく学べ」という言葉を贈ります。できる学生は例外なくよく遊びます。「遊んでいてはだめ」と思い込まされているかもしれませんが、そんなことは気にせずに、よく遊んでよく勉強してください。

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