各分野の連携で「社会的防災」の体制づくりを急げ!
日本は自然災害の多さから防災対策が発達
日本は小さな国土ですが、地震津波・台風などの災害につながる自然現象が多く、また災害の起きやすい地域に人が密集して住んでいます。過去に何度も自然災害に見舞われた経験から防災・減災対策が発達してきました。防災には2つの側面、堤防づくりや建物耐震技術に代表される「物理的防災」と、人々の意識や行動に働きかける「社会的防災」があります。しかし、近年は少子高齢化や経済状況の変化によって今までとは違った対策が必要になってきています。
遅れている社会的防災
20世紀の日本では、関東大震災、伊勢湾台風など大規模な災害を経験として、主に物理的防災の整備を進めてきました。その結果、確かに自然災害被害は減少してきたのです。
しかし、1995年に阪神・淡路大震災が、2011年に東日本大震災が起こり現代の日本社会に強い衝撃を与えました。地震が都市に起こると古い木造家屋密集地域で住宅倒壊が起こり同時に火災も発生すること、世界でも稀にみる大規模地震により発生した津波は広範囲にわたり地域社会を壊滅させてしまうこと、またそれらが多くの人々の命を奪ってしまうことをあらためて私たちに示しました。この対策を考えるためには、もはや物理的な対抗力だけでなく住まいやコミュニティ、家族のかたちや集落の配置といった地域社会のあり方にまで踏み込んで考えねばなりません。これからの防災・減災の取り組みは、物理的、社会的対策の両面からこれまで以上に高めていくことが求められています。
多様な分野が連携してリスクを軽減
多くの災害被害は、直接的な構造物被害だけでなく、地域状況や社会の状況から二次的・三次的な被害が拡大します。より一層の物理的防災の強化に加えて、社会的防災面で、建築学や災害社会学、経済学、医療、心理学、保健福祉など、さまざまな分野が連携して安全対策を立てて、今後の災害に備えていくことが緊急課題として考えられています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
関西大学 社会安全学部 安全マネジメント学科 教授 越山 健治 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
防災学先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?