微生物に秘められた無限の可能性を探る
目に見えないけれど私たちの身近な存在
地球上にはさまざまな生物が生きています。その中で最も数が多いのが、カビやバクテリアなどの微生物です。例えば、納豆1gの中にはおよそ数億個の微生物が生息しています。微生物の多くは目に見えませんが、実は私たちに身近な存在として生活にも大きく関わっているのです。例えばトイレが臭うのは、便や尿のニオイもありますが、微生物が発するニオイが大きいのです。環境中の微生物の数をコントロールすると、芳香剤や脱臭剤などを使わなくてもトイレのニオイを抑えることができます。
微生物は2つの顔を持つ
また、微生物は良い面と悪い面の2つの顔を持っています。例えば、味噌やしょうゆ、お酒などの発酵食品は、カビや酵母などの微生物の力を利用したものです。汚染した水や土壌をきれいにする技術にも微生物の力が使われています。現在も新しい働きをする菌を発見したり、その働きを高めたりするための研究が行われています。一方で、微生物には悪臭を発したり、腐敗や食中毒を起こしたりと、人間にとって悪い面もあります。悪い面については生物的、化学的、物理的なアプローチから、安全かつ持続的にコントロールする研究が行われています。
排除するのではなく共存しよう
地球上に生息する微生物のほとんどは、実はまだ知られておらず、解明できているのはほんの一握りのものに過ぎません。火山や海底などの過酷な環境にすんでいたり、ペットボトルを分解したりする微生物もいます。今後さらに研究が進めば、私たちが想像すらできない反応をする微生物が発見されるかもしれません。このように微生物には無限の可能性が秘められています。カビやバクテリアと聞くと、過剰な反応をしてしまいがちな現代人ですが、環境中に存在する微生物の多くは私たちに何の危害も与えない菌なので基本的に過敏にならないことです。そして微生物は完全に排除するのではなく、微生物をうまくコントロールして共存しながら生活することが大切なのです。
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先生情報 / 大学情報
北九州市立大学 国際環境工学部 環境生命工学科 教授 森田 洋 先生
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