講義No.08595 経営学・商学

マーケティングの新しい方向性―価値共創の可能性―

マーケティングの新しい方向性―価値共創の可能性―

「ネット通販」に対抗する「オムニチャネル」とは

現在、商品を購入する空間は店舗だけではありません。通販カタログ、パソコンやスマートフォンなど、購入手段の選択肢は広がっています。また商品の受け取りも、自宅や職場をはじめ、購入したのとは別の店舗や最寄りのコンビニなど多様化しています。つまり購入や受け取りの選択肢をさまざまに組み合わせることが可能になってきたのです。このように消費者とのコンタクトのポイントをたくさん持つやり方を「オムニチャネル」と言い、これはネット専門の販売業者の「ネット通販」に対抗しようという考え方です。こうした考え方で、店舗自体を楽しく快適な空間にしようという動きもあり、書店がカフェと統合して、座って読める場所をつくるのはその一例です。

価値を消費者と共につくる「価値共創」とは

今までのマーケティングでは、消費者に商品を購入してもらうことが最も重要だという考えでした。ところが最近は、消費者がどんなふうに商品を使用しているかに着目すべきだと考えられています。消費者の立場から考えれば、商品の価値が生まれるのは購入したときではなく使用したときだからです。そこで、企業はアプリなどで使い方の提案をするなど、商品を売った後も消費者と関わるようになりました。このように、企業と消費者が商品を使う場面で価値を共につくりだすことを、「価値共創」と言います。

消費者対応から新たな価値が生まれる?

「価値共創」の考え方で、今まで重きを置いていなかった消費者対応に企業が積極的に取り組むようになりました。1つの苦情であっても、その背後に同じことを思っている人が何人もいると考えるようになったからです。1人の苦情にきちんと向き合って対応することで、企業の評判は高まります。また、消費者対応によって、企業側が想定していなかった使われ方をしているということもわかってきたりしますから、そこから新しい価値が生まれる可能性もあるのです。

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先生情報 / 大学情報

明治大学 商学部  教授 菊池 一夫 先生

明治大学 商学部 教授 菊池 一夫 先生

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マーケティング論

先生が目指すSDGs

メッセージ

私たちの生活は、ビジネスと切り離すことはできません。例えば通勤通学で電車に乗っている間にも、車内広告を見たり、SNSを開けばアプリ内の広告を目にしたりします。私たち消費者は、常にマーケティングに関わっているのです。
商学部は消費者の視点を大事にしながらビジネスを学ぶところなので、きちんと学べば賢い消費者になれるでしょう。消費者という側面を持ちながら企業の意図を知ることができれば、消費者としても、ビジネスパーソンとしても、よりよい暮らしを送ることができると思います。

先生への質問

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明治大学に関心を持ったあなたは

明治大学は、10学部28学科で「個」を強くする大学です。みなさんの知への好奇心に応える学びが、きっとこの中にあります。
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