マーケティングの新しい方向性―価値共創の可能性―
「ネット通販」に対抗する「オムニチャネル」とは
現在、商品を購入する空間は店舗だけではありません。通販カタログ、パソコンやスマートフォンなど、購入手段の選択肢は広がっています。また商品の受け取りも、自宅や職場をはじめ、購入したのとは別の店舗や最寄りのコンビニなど多様化しています。つまり購入や受け取りの選択肢をさまざまに組み合わせることが可能になってきたのです。このように消費者とのコンタクトのポイントをたくさん持つやり方を「オムニチャネル」と言い、これはネット専門の販売業者の「ネット通販」に対抗しようという考え方です。こうした考え方で、店舗自体を楽しく快適な空間にしようという動きもあり、書店がカフェと統合して、座って読める場所をつくるのはその一例です。
価値を消費者と共につくる「価値共創」とは
今までのマーケティングでは、消費者に商品を購入してもらうことが最も重要だという考えでした。ところが最近は、消費者がどんなふうに商品を使用しているかに着目すべきだと考えられています。消費者の立場から考えれば、商品の価値が生まれるのは購入したときではなく使用したときだからです。そこで、企業はアプリなどで使い方の提案をするなど、商品を売った後も消費者と関わるようになりました。このように、企業と消費者が商品を使う場面で価値を共につくりだすことを、「価値共創」と言います。
消費者対応から新たな価値が生まれる?
「価値共創」の考え方で、今まで重きを置いていなかった消費者対応に企業が積極的に取り組むようになりました。1つの苦情であっても、その背後に同じことを思っている人が何人もいると考えるようになったからです。1人の苦情にきちんと向き合って対応することで、企業の評判は高まります。また、消費者対応によって、企業側が想定していなかった使われ方をしているということもわかってきたりしますから、そこから新しい価値が生まれる可能性もあるのです。
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明治大学 商学部 教授 菊池 一夫 先生
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