「イノベーション」を通じて社会の課題解決に挑戦する
企業の成長のカギを握る「イノベーション」
人口減少・少子高齢化が急速に進む日本において、今後の経済成長・経済発展をめざすための重要なキーワードは、新しい知識・技術を利用して課題を解決すること、つまり「イノベーション」です。経営学における「イノベーション」とは、大きな社会変化と経済成果をもたらす「革新」のことを意味します。
企業経営においては、新たな製品・サービスの開発や生産・販売方法の導入などを通じて、これまでに見たことのないような新しい価値を生み出すことが求められています。
イノベーションは異なる世界の境界から生まれる
こうしたイノベーションを生み出せる企業と、生み出せない企業の違いはどこにあるのでしょうか? その理由や時代背景、地域差などを多面的に研究するのが「イノベーション研究」という学問です。しばしば、イノベーションは「境界領域」で起こると言われています。境界領域とは学問分野に限らず、複数の領域が重なり合う場のことで、互いに異なる視点を提供し、共通の課題を解決できれば、それが独創的なアイデアや方法論の実現につながります。
例えば、ペンギンは鳥類でありながら、飛ぶことはできません。ですが、魚のように水中を泳ぐことができ、海の中と陸の上の2つの世界を自由に行き来することができます。その意味で、ペンギンは境界領域に存在していると言えます。こうした複数の視点や言語、価値観を合わせ持つ人材が、今の日本企業には残念ながら欠けています。
イノベーションの種は社会に散在する課題にあり!
イノベーションの種は、「夢」や「希望」ではなく、「困難」「不便」「悲しみ」といった社会が抱える課題にあります。例えば、パソコンなら左利きの人も使えるように左右にUSBポートを配置したもの、キーボードを使わなくても声で文字入力や操作ができる機能など、社会的少数者に注目して、商品・サービス・システムを作れるかどうかもイノベーションを生み出す上で重要なポイントなのです。
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先生情報 / 大学情報
一橋大学 商学部 教授 軽部 大 先生
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