講義No.08887 材料工学

多様な用途に使えるアルミ新素材が次々と生まれている!

多様な用途に使えるアルミ新素材が次々と生まれている!

素材力の高いアルミ

アルミニウムは身近な素材です。スマホやコンピュータなどの電子機器、飲料の缶、スプレー容器、ポテトチップスの袋、錠剤のパッケージなどさまざまなものに使われています。軽くて加工もしやすく安価だからです。
大きなものでは、自動車や飛行機のボディー、スペースシャトルの燃料タンクなどにも使われています。かつて新幹線のボディーは鉄でしたが、最近はアルミです。メンテナンスがしやすく、さびにくいからです。安全性が厳しく問われる乗り物に使われるようになったのは、強度の高い素材が開発されるようになったからです。リサイクルしやすい素材でもあるので、再加工の技術も研究のテーマになっています。

強度や性質の異なる多様な素材を生み出せる

アルミの強度を高める方法としては、別の物質を混ぜ、熱処理や特殊な加工を施します。ある物質を混ぜるとしても、温度と時間の組み合わせにより、できる素材の性質はさまざまです。顕微鏡で組織の違いを観察しながら、条件の違いと結果を検証し、用途に応じたアルミ材料を作っていくのです。
混ぜる材料によって、全く新しい性質を持ったアルミを作ることも可能です。例えば蛍光塗料を混ぜると、光るアルミができます。単に光るだけでなく、力が加わると蛍光物質が発光するような素材もできます。このような材料を建造物のメンテナンスがしにくい部分に使うことで、発光によりひずみから破損を予測することができるようになります。

アルミ新素材を橋などの建造物にも活用

これまで建造物の重要な部分には、鉄が使われてきました。しかし、次々とアルミの新素材が開発されたおかげで、アルミも使われるようになっています。例えば橋は、大きな荷重がかかる部分や、接続する箇所には鉄を使いますが、それ以外の部分にはアルミが多用されています。二酸化炭素の排出を大幅に削減する低炭素社会をめざすという時代の流れに沿って、新しいアルミ素材と、新たな用途が次々と生まれているのです。

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先生情報 / 大学情報

富山大学 都市デザイン学部 材料デザイン工学科 教授 松田 健二 先生

富山大学 都市デザイン学部 材料デザイン工学科 教授 松田 健二 先生

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材料組織学、金属工学

メッセージ

私の研究室は、まちづくりを意識しながら材料デザイン工学を学ぶ学科で、軽金属の組織構造についての研究に取り組んでいます。特にアルミは、軽くてリサイクルがしやすいという利点があり、環境を壊すことなく人類の消費を支える「持続可能な社会」を実現する素材です。
また、海上・海中都市なども夢ではない時代になってきましたが、資源の有効利用に加えて、丈夫なアルミは優れた素材として注目されています。ぜひ5年先、10年先の目標を設定し、一緒に未来の都市を考える研究に取り組んでいきましょう。

先生への質問

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