軸受などに用いる新素材の強度を評価
動力伝達装置にセラミックスやプラスチックを使う
自動車、航空機、風力発電設備などの心臓部である動力伝達装置、つまり軸受けは、新しい材料が使われることが多くなっています。これまでは鉄などの金属素材が多かったのですが、近年ではセラミックスやエンジニアリングプラスチックなども使われています。これらは難加工ですが、腐食しにくいという特性があります。また、セラミックスは硬く絶縁性があるので用途は多岐にわたります。これらの設計・加工のためには、強度を測る必要がありますが、新素材に対する強度の測定方法はまだ確立されていないのが現状です。
海外からも注目される強度測定技術
一般的な研究方法は、これまでの金属疲労の考え方を応用する方法です。つまり、負荷を繰り返すことによって対象となる装置がどう変化するかを見るのです。しかし、この方法には2つの限界が指摘されています。1つ目は、接触や摩擦をともなう現象には適用できないことです。2つ目は、接触しているため具体的な観察ができないことです。これらを克服するために国や企業と協力しながら独自の研究が行われています。また、金属の強度を測る技術では、「ホールプローブ顕微鏡」という磁場を可視化できる装置を作りました。これは、金属が破損する前に磁性の量や方向が変わる性質を応用したものです。
これらの研究は世界的に珍しく、海外からもその成果が注目されています。
高さ4メートルのロボット
また、これらの研究を象徴する存在として、高さ4メートル、重さ700キロ以上ある大型ロボットも開発されました。関節部分にはスーパーエンジニアリングプラスチックやチタン、ジュラルミンが用いられています。国内外でロボットはいろいろなものが研究され、動きも高度になっていますが、ハード部分はまだまだ研究の余地があるといえるでしょう。ロボットなど装置全体を軽量化するためにも、金属に取って代わるセラミックスやエンジニアリングプラスチックなど新素材の強度を高めることが必要なのです。
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先生情報 / 大学情報
富山大学 工学部 工学科 機械工学コース 教授 木田 勝之 先生
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