水中でも活躍! 光で伝える無線通信の未来

水中でも活躍! 光で伝える無線通信の未来

光を使って通信する

「無線通信」といえば電波を思い浮かべるかもしれませんが、光を使った無線通信も存在します。身近な例に二次元バーコードがあります。ほかにも光を動かしたり、点滅させたりすることで情報を送ることもできます。
光無線通信の最大の特長は、電波と違って利用するのに免許が不要なことです。電波は混信防止のために利用が厳しく管理されていますが、光は誰でも自由に発することができます。そのため、実験や開発が容易です。そのほかにも、細いビームで届かせたいところにだけ届けられる、回路が簡単で装置の小型化・省エネ化が可能、といった利点があります。

水中では光が主役に

光無線通信のもう一つの大きなメリットは、特殊な環境での通信にも適していることです。例えば、水中では電波はほとんど通りませんが、青や緑の光はある程度の距離まで届くため、これを使った通信が可能です。水中機器の多くは船とのケーブル接続で操作されていますが、無線化すればより自由に動かせるようになります。また、災害現場のように、ケーブルを引けない状況での救助活動やインフラの確認にも応用が期待されています。将来的には、風力発電所の水中部分の点検や、養殖場の監視、海底環境の観測などにも活用できるでしょう。

複数の光と色で

光無線通信には、船の揺れなどで光の当たる位置や角度がずれると通信が不安定になるという課題があります。これに対応するため、複数の送信機と受信機を組み合わせた「光MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術」の研究が行われています。複数の光源があれば、一部が届かなくてもほかの光で通信を維持できるからです。また、水中無線通信は水の濁りの影響も受けるため、濁り具合によって通りやすい光の色(波長)が変わることに着目して、複数の色の光を同時に使う方法も研究されています。これらの技術を組み合わせ、安定させた高速水中無線通信の実現をめざして開発が進められています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

追手門学院大学 理工学部 電気電子工学科 教授 片山 正昭 先生

追手門学院大学理工学部 電気電子工学科 教授片山 正昭 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

通信工学、制御・システム工学

先生が目指すSDGs

メッセージ

高校での学びと社会や学問の実際の姿とは大きく異なります。高校の物理や数学、英語がどう使われるのか、実際に見るまでわからないものなので、自分の好きなことを早く絞り過ぎないことをお勧めします。深い穴を掘るためには、まず広い穴を掘ることが大切です。異なる分野を知ることで、「常識」が分野によって全く違うことに気づくでしょう。知らない分野を含めて多くの専門家の話を聞いて回って、広い範囲を見渡す鳥の目と、対象に密着する虫の目の両方を持つことをめざしましょう。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

追手門学院大学に関心を持ったあなたは

追手門学院大学では「学生一人ひとりの個性・自主性を育てること」を重視しており、基本的な能力やスキルの向上のため少人数で学べる講義やゼミナール、個々の興味に合わせて学べる幅広い科目群など、充実した学びのシステムを用意してあなたの夢の実現を力いっぱい後押しします。