ネットワーク上で作業を分担するモバイルエージェントシステム

ネットワーク上で作業を分担するモバイルエージェントシステム

まわりのコンピュータを使い問題を解決

コンピュータは単独で存在しているわけではなく、ネットワークを通じてほかのコンピュータとつながっています。もしそれらのコンピュータが協力すれば、手元にあるコンピュータだけでは解けない問題を解決することも可能になります。ソフトウェアを使ってネットワーク上のコンピュータに相互支援させようというのが「モバイルエージェント」という発想です。具体的には自律性を持ったソフトウェアエージェントをネットワークの中に解き放ち、問題解決や処理の軽減化のため、自動的に作業を分担する仕組みになっています。

エージェントを使ってプログラムを作ることも

それぞれのエージェントはネットワークを巡り、作業に適した能力を持ち、すぐに作業可能なコンピュータに処理を頼んでいきます。人工知能によるディープラーニングを活用すれば、効率よく移動先を決めることもできるでしょう。突き詰めた使い方としては、すべての作業を自分の手で行う必要がなくなります。何か計算したいことがあった時、必要最小限のプログラムを書いておけば、エージェントがネットワークの中で残りの協力者エージェントを集め、瞬時にプログラムを構築することもできるわけです。

エージェントで24時間知的サービス続行

大規模な計算を速やかに解きたいケースは意外と多くあります。例えば天気予報などは、対象のエリアを細分化すればするほど計算量が増え、性能の良いコンピュータが必要になります。性能が倍のコンピュータを導入するには10倍以上のコストがかかりますが、仮に4台のコンピュータをつないで同じ性能が生み出せれば4倍のコストで済みます。またエージェントのクローンをほかのコンピュータに送り、自分が停止した場合に備えることもできます。仮に災害などで電源が確保できなくなってもバッテリーで動くパソコンやスマートフォンがあればサービスを続行できますし、24時間365日無停止のシステムも作りやすくなるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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成蹊大学 理工学部 理工学科 教授 甲斐 宗徳 先生

成蹊大学 理工学部 理工学科 教授 甲斐 宗徳 先生

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情報科学

メッセージ

コンピュータは人間の行うことを模倣することができますので、それをうまく使えば人間の助けとなります。もしコンピュータが好きで、目の前にある道具をいかに使うかを考えることが好きなら、ソフトウェアについて学ぶことをお勧めします。
また大学生活では、「答えがわからずもがく」ということをぜひ経験してほしいです。そしてその時は積極的に周囲の人に相談してください。自分から発信しなければ、周りには何も伝わりません。解決の糸口は意外なところで見つかる場合があるので、まずはさまざまな人の話を聞いてみましょう。

先生への質問

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成蹊大学は、経済学部・経営学部・法学部・文学部・理工学部からなる総合大学です。文系・理系のすべての学生が4年間、緑豊かな吉祥寺のキャンパスで過ごすので、所属学部以外の友人との交流や学年を越えたネットワークづくりも可能です。また、先生との距離が近く学生一人ひとりの個性を尊重する少人数教育やキャリア教育が充実しています。さらに、2020年度より、各自が自分の興味関心やニーズに沿った学習を進められるよう副専攻制度を設けます。詳細は成蹊大学ホームページをご確認ください。