バーチャルリアリティの本当の意味とは?

バーチャルリアリティの本当の意味とは?

バーチャルリアリティとは?

一般的には、バーチャルリアリティ(VR)は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着して、CGで作られた仮想の世界に没入し、その世界でゲームなどをすることと思われています。実はそれは正確ではなく、本当の意味のVRとは「見かけや形は現実そのものではないが、本質的あるいは効果としては現実であること」を指します。HMDを装着して見聞きする世界がどれほど精細で現実に近いと感じられても、HMDを外した後に残るものが「本物みたいだった」「楽しかった」だけでは、VRとは言い難いのです。

現実世界で生きるVR体験

VRのわかりやすい例としては、宇宙飛行士が巨大な水槽の中で行う宇宙遊泳の訓練があげられます。無重力に似せた浮力のある空間で作業をする訓練は、宇宙に行ってから役立ちます。このように、VRの体験が終わった後に、その経験が現実世界でも生かされることが大切です。
もう少し身近な例としては、妊婦体験システムがあります。お腹に提げた袋にお湯を徐々に入れていくことで臨月までのお腹のふくらみの変化や温かさを感じ、袋の中の小さなバルーンを膨らませることで胎動を味わえるものです。この体験を通じて、パートナーをはじめとする、妊婦さんの周囲の人たちの認識と行動が変わることをめざしているわけです。

教育・訓練のためのゲーミフィケーション

VRにゲームの要素を加え、教育や訓練に役立てる研究もされています。また、子ども向けのものとして、ニンジンやピーマンの野菜クッキーを食べないと弾を追加できない「偏食を改善するためのシューティングゲーム」や「掃除機の使い方を学ぶためのゲーム」が開発されています。
ここまでにあげた例のように、VRは視聴覚情報だけでなく、匂いや味、体感も対象としています。システムやゲームのテーマを決め、目的とする効果を与えるのに必要なVR体験のための装置を作ることもVR研究の一部です。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

東海大学 情報理工学部 情報メディア学科 准教授 小坂 崇之 先生

東海大学 情報理工学部 情報メディア学科 准教授 小坂 崇之 先生

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情報工学、教育工学

先生が目指すSDGs

メッセージ

高校生の間に、英語をしっかり勉強しておいてほしいです。VRに限らず、どの分野でも世界中で研究されています。そのため、最新の情報を入手するためには英語の読解力が欠かせません。自分の研究成果を発表する際にも、国際学会でプレゼンしたり、英語論文を書いたりできる力が必要です。ビジネスにおいても、日本語だけで勝負できる市場は限られています。社会人として広い視野を持つためにも、英語が必須になるでしょう。勉強できる機会がある間に、読み・書き・会話はできるようになっていた方が今後の人生に役に立つと思います。

先生への質問

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