ナノ~マイクロ空間の界面制御で、ものづくりに革命を起こす!
界面をデザインして新素材を創り出す
界面とは、例えば水と油のような異なる相(ここでは混ざり合わない液体)の境界をいいます。液体同士だけでなく液体、固体、気体が接するさまざまな境界はすべて界面と呼ばれ、その境界を自在にデザインすれば画期的な材料を創ることができます。
例えば、牛乳や化粧品の乳液を顕微鏡で見ると、水の中でバラバラのサイズの油滴が分散しています。こうした不揃いな滴も「マイクロ流路」を用いた界面制御技術によって、サイズの揃った粒子を製造でき、タブレットやパソコンに使われるフラットパネルディスプレイの重要な部品にもなっています。狙った大きさ・形の粒子やカプセルを設計して効率的に生産できれば、新素材の開発だけでなく、革新的なものづくり技術として日本の製造業を一段と強化することに繋がります。
界面制御技術で世界初の革新的ナノ繊維生産
現在、政府や産業界は自動車などの工業製品、バイオテクノロジー、環境、エネルギーなどに応用できる繊維のナノ化技術に大きな期待を寄せています。それを受けて日本では、「マイクロ流路」を用いた液体の界面制御技術をナノレベルまで発展させた、液体中でのナノファイバーの製造に、世界で初めて成功しています。
軽くて強い繊維はこれからの持続可能社会にとって重要な新素材です。世界に先駆けて革新的なナノ繊維を創り出す、未来の移動手段、衣類、治療に貢献する新素材の開発が進んでいます。
新たな産業革命を起こす「マイクロ化学工学」
「マイクロ流路」は小さな化学反応容器ですが、これまでの巨大な工場を置き換える可能性を秘めています。移動可能なほど小型で、無駄なエネルギーを使わず安全で必要な場所で必要な量だけ生産できるため、あらゆる場所を工場にできます。応用範囲は、ほぼすべての工業に及ぶと言っても過言ではありません。化学製品、エレクトロニクス、医薬、化粧品などあらゆる分野で工場の形態が変わり、製造場所の制約がなくなることで社会構造すら変えてしまう可能性を秘めているのです。
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先生情報 / 大学情報
岡山大学 工学部 化学・生命系 教授 小野 努 先生
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