こんなに身近なナノテクノロジーの世界

こんなに身近なナノテクノロジーの世界

ハスの葉やステンドグラスにも「ナノ」が

「ナノ」とは、10⁻⁹という非常に小さな単位で、肉眼で見ることはもちろん、手に持つことすらできません。しかし、実はナノは私たちの身近な存在でもあるのです。例えば、植物のハスの葉が水をはじくのは、表面にナノサイズの凹凸があるからです。また、中世のステンドグラスは、ナノサイズの金の粒子を使って彩色されています。近年、ナノサイズの領域で、ものを観察したり、加工したりする技術が開発され、発展しています。この「ナノテクノロジー」の進歩にともない、活用分野も多彩に広がりを見せています。

スマートフォンにはナノの最新技術がいっぱい

ナノテクノロジーの進歩によって、最も進化した分野のひとつがコンピュータです。携帯電話やノートパソコンは、ナノサイズのIC(集積回路)を使うことによって小型・軽量化し、持ち運びがぐんと便利になりました。また、パソコンのディスプレイにナノの技術を用いることで、スマートフォンやタブレット端末といった新しい概念の電子機器も誕生しました。将来的には、ナノテクノロジーを活用して、もっと性能の高いCPU(中央処理装置)を作ろうという研究も進んでいます。

活用分野は、医療や環境にも

医療の分野でも、ナノテクノロジーを使うことで、診断機器の小型化が実現されています。さらに、ナノレベルで検査することでより多くの情報量が得られ、がんや生活習慣病など病気の予防や早期発見にもつながります。また、次世代を担うエネルギーとして太陽電池が注目されていますが、発電効率の低さが課題になっています。その問題を解決するための重要な技術のひとつが、ナノテクノロジーです。より発電効率が高く、小型化した太陽電池が実現し、その技術をスマートフォンに組み込めば、充電の手間がなくなるかもしれません。ナノテクノロジーは、世界のエネルギー問題や環境問題にも、大いに寄与できる技術だと期待を集めているのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

大阪公立大学 工学部 応用化学科 准教授 遠藤 達郎 先生

大阪公立大学 工学部 応用化学科 准教授 遠藤 達郎 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

工学、物理化学、分析化学、生体情報工学

先生が目指すSDGs

メッセージ

大学とは、高校で学んできた数学や物理・化学などを基礎として、新たなる分野を勉強し、学びを深め広げていく場所でもあります。また、大学では講義のほかに、本格的な装置などを使った「研究」という学修方法もあります。研究では、高校では学んだことのないような、さまざまな経験ができます。大学受験は、あなたが今まで胸に抱いて来た好奇心や希望、夢などを実現するチャンスだとも言えます。新たなチャレンジをする気持ちで、積極的に勉強や受験に取り組んでください。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大阪公立大学に関心を持ったあなたは

2022年4月、大阪市立大学と大阪府立大学が統合し、大阪公立大学が誕生しました。大阪市立大学、大阪府立大学は共に約140年の歴史ある大学であり、水都として交通の要衝であった大都市大阪とともに発展してまいりました。この地の利を生かし、理論と実際を有機的に結合することにより、両大学は大都市大阪で生活する人々が必要とする精神文化の発展や産業と経済の振興を担う中心機関としての役割を果たしてきました。本学はさらなる異分野を融合・包摂した新たな学問の創造と多様な世界市民の育成を目指します。