これからのリーダーに必要な「歴史」「芸術」「哲学」
リーダーをめざすなら、歴史を学ぼう
「マネジメント」とは、いかに組織を発展させるかを考える学問です。その中心となる人材、リーダーをどう育てるかが重要です。リーダーに必要なのは、まず本を読むこと、そして、特に歴史を学ぶことです。ナポレオンはなぜ、幾多の戦いに勝てたのでしょうか? 彼は徹底して過去の戦略を学び、自分のものにし、次の戦略を練りました。つまり、歴史を学ぶことで、その背景を知り、そこで得た知識を自分のものにできるのです。
美術館やギャラリーに足を運ぼう
次に大切なのは、文化や芸術に親しむことです。子どもの時に、創造的なものに触れ、アートを通じてクリエイティブな能力を高めてきた人は、未来を変えていく発想を生みだせるでしょう。ですから、美術館やギャラリーに足を運ぶことは大切です。
人工知能(AI)は今後、どんどん生活の中に入り込んでくるでしょう。囲碁AI「アルファ碁」に人間が勝てないのは、データ量ではAIに及ばないからです。AIと同じ土俵で戦っては、人間はかないません。人間も蓄積は必要ですが、ある段階から必要なのは、過去にとらわれない芸術的思考です。それこそがAIに対抗しうる人間の特別な能力です。
自分の軸となる哲学
その上で必要なのは哲学です。優れた経営者は自分の中に軸を持っており、ブレません。悩んでも「自分の軸」があれば、戻って来ることができます。また、曖昧な世界、グラデーションも大切です。それには東洋哲学を学ぶことが役立ちます。日本の禅文化を海外に広めた仏教学者・鈴木大拙の資料館には多くの外国人が訪れています。アップル社の共同設立者の1人だったスティーブ・ジョブズも東洋哲学に傾倒した時期がありました。
多様性を理解し、曖昧な部分や、複数のチャンネルを持った上で、マクロとミクロの間を往復しながら、多くの人にとっての利益を考え、組織の未来を描くことができる人を真の意味でリーダーと呼ぶことができるのです。
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先生情報 / 大学情報
長野県立大学 グローバルマネジメント学部 グローバルマネジメント学科 教授 大室 悦賀 先生
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