「SDGs+多様性=経済学」を理解すれば日本が変わる
SDGsは経済学の目標そのもの
「SDGs」の一人当たり検索数は日本が世界1位で米国の約100倍です。しかし、SDGs達成の方法を250年前から模索しているのが「経済学」ということは知られていません。経済学は「資源の最適配分を通して、人々が幸せになる方法を考える学問」で、全ての地域や時代で適用できる方法が研究されています。「経済学の父」アダム・スミスは、需要(求められるもの)に対する「自由」な試行錯誤を繰り返すことで、世の中の資源は最大限効率化され、世界の「幸せ」の総量が増えると考えました。
変わらない日本だけ取り残されている理由
「だれ一人取り残されない」を掲げるSDGsの中、日本は取り残されています。過去30年の平均賃金は横ばいで、直近の成長率は世界147位で最低水準です。しかし、1989年、世界の企業価値(時価総額)上位50社中32社が日本企業(現在0社)、競争力ランキングも世界1位(現在34位)で、キャッチアップの時代には「空気を読む文化・同質性」が強みでした。現在も日本の数学・科学リテラシーは世界トップ水準を維持していますが、人助けランキングは119ヵ国中118位と自分と違う他者への意識が希薄です。世界各地で成長が進み、「多様」な人々の需要に対応するためにも、アダム・スミスが重要性を指摘する「共感」が重要です。
今、日本が行うべきこと、行うべきでないこと
日本は景気対策を30年続け、現状維持を優先し、倒産件数を過去50年で最低に抑えました。本来なら倒産する企業で政府の関与で生き残った「ゾンビ企業」が23万社まで増加し、多くが新しい挑戦も昇給もできません。日本は熱意あふれる社員の割合は6%(調査139カ国中132位)と低位です。アダム・スミスは、政府の保護は誰も責任を取れない行為であり、政府の役割を限定するべきと主張しました。一方で、「分業」の進展で個人が「考え工夫する習慣を自然に失い、無知になる」ため、自分で考えられるように「教育」が重要であると強調しています(要約)。
参考資料
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先生情報 / 大学情報
神戸学院大学 経済学部 経済学科 教授 林 隆一 先生
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経済学、日本経済論、財政、金融、経済史先生が目指すSDGs
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