講義No.10293 児童学 教育

一つではない答えの探究 ~保育の面白さとミリョク~

一つではない答えの探究 ~保育の面白さとミリョク~

正解は一つではないのです

高校生までは、試験などでたった一つの答えを求められることが多いように思います。しかし、保育は正解が一つではありません。それが保育の面白さの一つともいえるでしょう。例えば、一つのモノを2人の子どもが取り合っていたとします。あなたならどのように対応しますか。「じゃんけんで決める」「話し合って決める」「順番に使う」、そうですね、どれも間違いではないように思います。では、じゃんけんは何歳ぐらいからできるようになるのでしょうか。「譲り合う」「がまんする」ことは、いつごろから求められるようになるのでしょうか。時には、子どもたちがどのように解決するのか見守りながら「放っておく」ことが正解の時もありそうです。保育の正解は一つではありませんが、保育の学びを深め、子どもの年齢に応じた育ちや興味関心などがわかっていると、より一人ひとりにあった対応ができるのです。

子どものモデルとしての保育者

子どもは親を映す鏡といわれますが、保育者にも同じことが言えます。泣いている子どもへの対応、困っている人への言葉がけ、来訪者への挨拶など、子どもは周囲の大人を見て社会性を身に付けていきます。そのため保育者にはモデルとしての役割も求められるのです。

協働で作り上げる保育

現在進められている研究の一つに「保育者の継続的就業を支える要因」に関するものがあります。その調査の中で、過去5年間の早期離職者がゼロの保育所・幼稚園・認定こども園で調査を行い、「辞めない理由」を探りました。すると、早期離職者のいない園では保育者の意思を尊重しており、失敗してしまった場合も周りがフォローする環境が整っていることがわかりました。保育現場では子どもの個性を大切にするよう謳われていますが、保育者の個性がないがしろにされる場面も見られます。園長や保育者がお互いに尊重しあえる園では、継続的就業が支えられていることがわかりました。保育者自身の個性が発揮され、協働で作り上げていくことも保育のミリョクの一つといえるでしょう。

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先生情報 / 大学情報

長野県立大学 健康発達学部 こども学科 准教授 渡邉 望 先生

長野県立大学 健康発達学部 こども学科 准教授 渡邉 望 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

保育学、幼児教育学

先生が目指すSDGs

メッセージ

赤ちゃんの笑顔を見ると自分も笑顔になれるように、子どもと保育には人を引きつける力があります。子どもの笑顔を増やしていくための工夫がたくさんできることが、保育者のやりがいのひとつです。あなたが考えている以上に保育は豊かで魅力的だといえます。
保育学の知識を身につけ、実習現場で経験を積むことで、まだ知らなかった保育のおもしろさに気づくことができるはずです。ぜひ一緒に、子どもを捉える視点や育ちの道筋など、保育を探るためのヒントを複合的に学んでいきましょう。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

長野県立大学に関心を持ったあなたは

長野県立大学は、2018年4月に長野市に開学した県立大学です。
グローバルな視野を持って未来を切り拓き、イノベーションを起こし、新たな価値を創出する”地域のリーダー”となる人材を育成しています。
グローバルマネジメント学部(グローバルマネジメント学科)と健康発達学部(食健康学科、こども学科)の2学部3学科を置いています。大学の特長としては、1年次全寮制、2年次全員参加海外プログラム、少人数教育があげられ、3~4年次にはアクティブラーニングで専門分野の知識を深めます。