一つではない答えの探究 ~保育の面白さとミリョク~
正解は一つではないのです
高校生までは、試験などでたった一つの答えを求められることが多いように思います。しかし、保育は正解が一つではありません。それが保育の面白さの一つともいえるでしょう。例えば、一つのモノを2人の子どもが取り合っていたとします。あなたならどのように対応しますか。「じゃんけんで決める」「話し合って決める」「順番に使う」、そうですね、どれも間違いではないように思います。では、じゃんけんは何歳ぐらいからできるようになるのでしょうか。「譲り合う」「がまんする」ことは、いつごろから求められるようになるのでしょうか。時には、子どもたちがどのように解決するのか見守りながら「放っておく」ことが正解の時もありそうです。保育の正解は一つではありませんが、保育の学びを深め、子どもの年齢に応じた育ちや興味関心などがわかっていると、より一人ひとりにあった対応ができるのです。
子どものモデルとしての保育者
子どもは親を映す鏡といわれますが、保育者にも同じことが言えます。泣いている子どもへの対応、困っている人への言葉がけ、来訪者への挨拶など、子どもは周囲の大人を見て社会性を身に付けていきます。そのため保育者にはモデルとしての役割も求められるのです。
協働で作り上げる保育
現在進められている研究の一つに「保育者の継続的就業を支える要因」に関するものがあります。その調査の中で、過去5年間の早期離職者がゼロの保育所・幼稚園・認定こども園で調査を行い、「辞めない理由」を探りました。すると、早期離職者のいない園では保育者の意思を尊重しており、失敗してしまった場合も周りがフォローする環境が整っていることがわかりました。保育現場では子どもの個性を大切にするよう謳われていますが、保育者の個性がないがしろにされる場面も見られます。園長や保育者がお互いに尊重しあえる園では、継続的就業が支えられていることがわかりました。保育者自身の個性が発揮され、協働で作り上げていくことも保育のミリョクの一つといえるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
長野県立大学 健康発達学部 こども学科 准教授 渡邉 望 先生
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