客が少なくなる深夜も、コンビニが営業を続けるワケ~会計学の役割~
なぜコンビニは24時間営業なのか
コンビニはいつでも明るく出迎えてくれます。人の出入りが少なく日中に比べ閑散としている深夜でも、ドリンク類はキンキンに冷えていますし、肉まんだってホカホカです。客がそれほどいないのだから、閉めてしまった方が利益は上がるのではと思うかもしれませんが、24時間営業には理由があるのです。
早朝から営業するとして、開店と同時に冷えた飲み物やホカホカの肉まんを提供するには、冷蔵庫や保温器の電源は入れ続けておく必要があります。製氷機も同様です。売れても売れなくても同じように電気代がかかるのなら、営業を続けた方が、少しは客の利用も見込めます。
24時間営業をやめたファミレス
一方、同じように24時間営業だったファミリーレストランは相次いで深夜営業休止へと方向転換しています。深夜に大人数で長時間利用するお客さんがいなくなったという時代背景や、ニーズが多様化し1店舗あたりの支持人口が減少したことなどにより、売り上げが立たなくなったのです。単純な作業が多く熟練者でなくても対応可能なコンビニ店員とは異なり、ファミレスは季節ごとにメニューが変わり、調理師免許を持った従業員も必要で人件費がかさみます。だからといってタクシー料金のように深夜割増の設定も難しく、結果的に深夜は営業しない方向に向かっているのです。
見えなかったことに気づく会計学の目
企業の営業活動によって生じた利益は、売り上げから給料などの必要な費用を引けばわかりますが、費用を固定費と変動費に分けて考える会計学の視点には、見えなかったことに気づかせてくれる機能があります。固定費とは家賃や地代、コンビニの電気代など、売り上げが上下しても変わらず必要となる一定の費用です。変動費は売り上げの増減によって変化する費用です。企業が継続して儲けるためには、時代の変化を読み取った発想や工夫が必要となりますが、その際、固定費と変動費、それぞれの性質を踏まえて利益を考える会計学が重要な役割を果たしているのです。
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先生情報 / 大学情報
國學院大學 経済学部 経営学科 准教授 東海林 孝一 先生
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