何に幸せを感じる? 個々の幸せを認め、誰もが幸せな社会をめざして

何に幸せを感じる? 個々の幸せを認め、誰もが幸せな社会をめざして

幸福感は良好な人間関係の源泉

人がより良く生きているための重要なキーワードが「幸福感」です。一般的に、良好な人間関係が幸福感を高めると感じる人が多いです。当然その可能性もありますが、人は誰しも嫌なことがあり、イライラしていたら、周りの人にあたってしまいそうになったり、やさしく出来なくなります。ただし、幸福感が高い状態であれば、心にゆとりができ、周りに人にも優しく接することが出来ます。このように、幸福感の高さが、より良い人間関係を導くという視点も大切です。

一人ひとりの価値観(幸福観)に合った支援

幸福感を得る事柄は人によって異なります。多くの人はパートナーや様々な人からのサポートにより幸福感を高めます。ただし、サポートされるほど、「誰かに助けてもらわないといけない……」「周りに迷惑をかけている……」と感じて幸福感が下がる人もいます。
また、生まれ育った地域・国により価値観が異なるため、文化特有の「幸せ」も存在します。そのため、多様な幸せが存在することを理解し、一人ひとりの幸福観(何を幸せと捉えるのか)を想定した支援・関わりが求められます。

アタッチメントの連続性

心理学にはアタッチメント(愛着)という用語があります。これは、「危機的状況に際して、養育者などの特定の対象へ近接を求め、不安を低減さる行動」とされ、人に本能的に備わっていると考えられています。幼い子どもの場合、不安を感じた時は養育者に抱っこをせがみ、くっつく(Attach)ことで、不安を低減させます。この時、養育者が適切に関われば、自分や他者への信頼感を育むことができます。
このアタッチメントは、幼いころに形成されるとそのスタイルは維持されやすいことが指摘されており、幼いころに不適切な養育を受けた場合は、様々な課題をもち続けることがあります。ただし、高い幸福感をもった人は、周りの人に対してポジティブな視点を向けることが出来ます。そのため、負の連鎖を断ち切るためには「高い幸福感」が重要なのです。


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長野県立大学 健康発達学部 食健康学科 准教授 加藤 孝士 先生

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発達心理学、教育心理学、こども学

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メッセージ

大学での学びはとてもおもしろく、興味あることを自由に、深く学ぶことができます。食について興味があり、栄養の知識を基に人を支援したい人、心理学や教育・保育に関心がある人、ぜひ一緒に学びましょう。人はつい、できていないことやマイナス面を意識しがちです。しかし、毎日通学していることや日々学んでいること、受験に向けて勉学に取り組むことは、素晴らしいことです。それらの出来ていることを認め、自分自身を肯定的に捉えながら、日々過ごしてください。

長野県立大学に関心を持ったあなたは

長野県立大学は、2018年4月に長野市に開学した県立大学です。
グローバルな視野を持って未来を切り拓き、イノベーションを起こし、新たな価値を創出する”地域のリーダー”となる人材を育成しています。
グローバルマネジメント学部(グローバルマネジメント学科)と健康発達学部(食健康学科、こども学科)の2学部3学科を置いています。大学の特長としては、1年次全寮制、2年次全員参加海外プログラム、少人数教育があげられ、3~4年次にはアクティブラーニングで専門分野の知識を深めます。